シノビとは

王雲聡 南京信息工程大学

 

 「日本文化というのは忍者だ」。平成11年、『ナルト』という漫画が連載開始した。それから、世界中で忍者ブームが巻き起こった。しかし、『ナルト』より十一年ほど前の昭和63年、忍者を題材にした特撮ドラマが放送された。それが『世界忍者戦ジライヤ』だ。

 私は、平成の仮面ライダーを見たあと、見たことのない特撮シリーズを見たかった。そして、パソコンで『メタルヒーローシリーズ』を見始めた。これで私はそのシリーズの第七作、『世界忍者戦ジライヤ』と出会った。忍者という主題が日本っぽいおかげで、人気はとても高かった。

 『ジライヤ』は、主人公の山地闘破や戸隠流忍者たちが、秘宝「パコ」を狙ってきた世界忍者たちと闘うお話だ。「パコ」というのは世界を支配する力を持つ秘宝で、聖徳太子によって隠れたものだ。戸隠流忍者たちが代々秘宝を守る使命を担っている。「ジライヤ」は闘破の忍者の名前で、戸隠流宗家の称号だ。表面的には、『ジライヤ』はただの特撮ドラマにすぎないが、主人公たちがいた戸隠流は実際に存在する忍者流派で、今から八百年前、木曽義仲の家臣仁科大助に起こされた流派だ。また、長野県善光寺の裏山にある戸隠連峰のふもとに、仁科大助が作った忍者の村「戸隠村」が今でもあるそうだ。そして、劇中の戸隠流三十四代宗家山地哲山を演じたのは本物の戸隠流三十四代宗家初見良昭さんだった。それだけでなく、主役の筒井巧さんは令和元年、山地闘破のように戸隠流三十五代宗家になった。おかげで『ジライヤ』のアクションシーンは素晴らしかった。

 『ナルト』の中の魔法のような忍術とは違って、『ジライヤ』の忍術は武術だ。初見さんの言った通り、忍術は体を鍛える武術というだけでなく、精神を鍛える術である。シノビとは体と魂を磨いて、鍛えて生きることだと、『ジライヤ』のエンディング曲の歌詞が歌った。それに、『ジライヤ』のおかげで、「忍者」の「忍」は耐え忍ぶことだということが分かった。よく考えたら、中国のカンフーも同じことだ。戦うことしか知らないと、ただの無鉄砲なやつだ。本当の武術家は勇気と知恵を兼備して、力が強いと同時に心も強い。心、技、体からの力こそ世界中のすべての武術の共通点だと思った。武術だけでなく、私たちは日常生活の中にも体と心を鍛えなければならない。世の中には辛いことがたくさんあるから、心を鍛える。健康は大事だから、体を鍛える。それが強い人の生き方だろう。

 「世界忍者戦ジライヤ」を見えたのは本当にありがたい。このドラマのおかげで、私は本物の忍びとはどういうものかが分かった。しかも、人生の道も見た。それが、心と体を鍛えて、健康で幸せに生き続くことだ。それができたら、誰でも忍びだろう。

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