今度やろうは馬鹿野郎

劉華  南通大学

 

  過去、いろいろな日本のドラマを見てきた。大学で日本や日本語について学んでいるが、実のところ、日本のドラマを通じて、本物の日本を知るようになったと言っても言い過ぎではない。ドラマに映る日本の素敵な景色、例えば、日光街道の杉並木やどこまでも青く清い琵琶湖、雄大な富士山などとてもすばらしい。それらのすべてが大好きだ。ドラマ登場人物のセリフから、日本人の物事をはっきりさせない曖昧さも実感する。もしある人が好きになれば、愛してるとは言わないけれど、好き、大好きっていう。日本のドラマから、そんな日本語の曖昧さを何度も実感した。しかし、中国人としては直接的に自分の言いたいことをはっきり言いたい。電話をする時、中国人は「もしもし、私は劉です。」と言う。日本人は「もしもし、劉ですけど。」と言う。小さな違いだが「けど」をつけて向こうの雰囲気を推し量りながら、遠慮がちに電話をする。そんな曖昧さが好きだけれど、逆にちょっとした直接的な日本語に感動する時もある。

  例えば、「いつやるか?今でしょう。」という林修の流行語。聞けばすぐに元気が出る。これは「時間を潰すな、今仕事とか勉強とかに取り掛かりなさい。」という意味の言葉だけれども、私は林先生の短い言葉を聞いた瞬間、毎日何もしないで時間を潰すのは罪だと心から納得する。

 「プロポーズ大作戦」というドラマで、主人公岩瀬健は、思いを寄せていた幼なじみ吉田礼に告白できないまま無為に時を過ごしてしまった、そして、結局彼女の結婚式に友人として出席するということになる。彼は妖精の力を借り過去に戻恋の成就を試みるためだ。しかし、残念なことに、最終的に彼は未来を変えることはできなかった。過去をやり直しても、結局最後まで、彼は吉田礼に告白することが出来なかったのである。残念な結果は変わらなかった。吉田礼のおじいちゃんが言った。

 「今度やろうは馬鹿野郎。明日やろうも馬鹿野郎。思い立ったらすぐ何でもやらなきゃダメだ!」この言葉は私に刺さった。

  この短いセリフを聞いた瞬間気がついた。今までの自分は何をやってきたのか。いつも明日があると思い、やろうと思ったこともすぐには実行せず今度やろうと自分に言い訳して自分を慰めてきた。「今度やろうは馬鹿野郎」このセリフが私を変えてくれた。思い立ったことはすぐに行動に移す。美味しいと思ったら、その場で言葉にする。会いたいと思ったら、いつでも会いに行く。言いたいと思ったら言え。言わなくても伝わるなんて思ったら大間違いだ。私はそのように行動の基準で生きることにした。

  時間には限りがある。有効に使うか無駄にするかは、自分の使い方次第だ。いつも明日があるからと思ったら痛い目にあうだけだ。死んでいく時にやりたいことをやって良かったと後悔しなかった者が勝ちだ。

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850