「千年女優」から感じ取った日本

程晨 江西財経大学

 

もし日本を最も代表する映画は何かと聞かれたら、私はきっと今敏の傑作「千年女優」だと答えます。

この映画は当時世界で大人気を博しました。多くの人がこれをきっかけに日本への関心を高めました。なぜなら、それは物語が観衆の心を打っただけでなく、日本という国の独特のイメ一ジが、映画を通じて世界に伝わったからだろうと思います。

本作は、日本の前世紀の大女優、千代子が一人の男性を思い続けた半生を描く映画です。一見してロマンスのような物語ですが、もしその程度に考えれば、もっと奥深いことを見失うかも知れません。私は何回も繰り返し見ましたが、見るたびに、新しい発見ができ、心に一層深く日本のイメ一ジが残ります。

 「必ず会いに行く」

千代子が映画で何回も言った台詞です。彼女の演じるキャラク夕一は押し並べて決意が固いです。実はキャラクタ一だけではなく、千代子自身もそういう女性です。一生ずっと一目惚れした男性との再会を求めています。しかし、実を結びません。それは残念ですが、日本ならではの悲哀を感じ、繊細な美を味わえます。その残念さが恋そのものだとも思います。むしろ乙女の初恋は、希望や結果がなくとも、そのまま純粋な状態でありつづけます。それこそ、映画から感じ取れる日本文化の美だと言えます。つまりあっさりして、いささか残念に思いますが、繊細な感じもするのです。

「だって私、あの人を追いかけている私が好きなんだ」

これは、千代子が最後に悟ったことです。彼女の一生は「初心を忘るべからず」という諺そのものだと言えます。一生を通じて、恋人に会いに行くために頑張り抜いたのですから。私の見方では、彼女の命を有意義にしたのは、恋ではなく、自己愛です。どんな困難に立ち向かっても、絶対に信念を変えません。台詞にある「必ず会いに行く」というのも、むしろもっと優れた自分に会うという意味にとれるのではないでしょうか。数十年もの俳優生活を支えてきたのは、自己を愛し、命を豊かにした、志でしょう。

こういうテ一マは日本によく合います。

前世紀30年代ごろ、日本は世界大戦に巻き込まれ、戦争が終った後の経済の崩壊は、日本にとって未曽有の挑戦でした。しかし、日本は歴史のチャンスを掴み、50年代から経済を急速に発達させ、奇跡と言えるほどの成長率を達成し、驚異の目を集めました。各個人も、何か会社や社会にカになれることはないかと自分の価値を探し求めました。戦後の光景を一変したのは、日本の根性であり、信念を持つ民族性です。

「千年女優」という映画は、まさに日本の繊細さと根性を示しました。日本人は繊細美を好む民族ですから、何事も心で味わい、美的感覚豊かな文化作品が好評を得ます。言い方を変えれば、根性がなければ苦境も脱出できず、それは日本らしくないとも言えます。私は、今後、日本がより目覚ましい発展を遂げると信じています。

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