新疆の歴史に関する幾つかの問題(六)

五、新疆の各民族の文化は中華文化の構成部分である

中華民族は 5000 年余りの文明の発展の歴史を有し、 各民族は共に悠久の中国の歴史、光り輝く中華文化を創 造してきた。秦漢の威風、盛唐の気概、康乾盛世はす べて各民族が共同で創造した輝きである。多民族多文 化は中国の大きな特徴の一つであり、また国家の発展の 重要な原動力でもある。

古くから、地理的差異と地域発展のアンバランスに よって、中華文化は豊かで多元的な様相を呈しており、 南北、東西の差異が存在している。春秋戦国時代、そ れぞれが特色を有する地域文化がすでにほぼ形成されて いた。秦漢代以降、各時代を経て、中国の広大な領土 において、移動、集合、戦争、和親、交易などを通じ、 各民族の文化が絶えず交流融合し、最終的に気宇壮大 な中華文化を形成した。

早くも 2000 年余り前に、新疆地区は中華文明の西に 向かって開かれた門戸であり、東西文明の交流伝播の 要地であり、ここには多様な文化が集まり、多種の文化 が併存していた。中原文化と西域文化が長期にわたって 交流融合し、新疆の各民族の文化の発展を推進しただけでなく、また多元的で一体化した中華文化の発展をも 促進した。新疆の各民族の文化には最初から中華文化の 印が押された。中華文化は一貫して新疆の各民族の気持ちのよりどころ、心の落ち着き先、精神のふるさとであり、 また新疆の各民族の文化の発展の原動力の源でもある。

中原と西域の経済文化の交流は早くも先秦時代に始まった。漢代になると、漢語はすでに西域の行政文書の 公用語の一つになり、琵琶、羌笛などの楽器は西域から、 あるいは西域を通じて中原に伝わり、中原の農業生産技 術、儀礼制度、漢語書籍、音楽舞踊などが西域で広く 伝わった。高昌回鶻は唐代の暦を 10 世紀後半までずっと用いていた。唐の詩人岑参の詩句「花門将軍善胡歌、 葉河蕃王能漢語 ( 花門将軍胡歌を善くし、葉河蕃王漢語 を能くす )」は、当時、新疆地区で少数民族の言語と漢語がともに使われ、文化が繁栄していた有様の描写であ る。宋の時代、天山南麓の仏教芸術は依然として盛んで あり、今なお多くの遺跡が残されている。西遼の時代、 契丹はカラ汗王朝を征服し、新疆地区と中央アジアを支配し、局部的統一を実現したが、その法令制度儀礼な どは中原の旧制度を多く踏襲した。元の時代、畏兀儿などの少数民族が大量に中国の内陸に移住して生活し、漢 語を学んで使用し、科挙の試験にも参加し、各級の官吏 に採用される人もいて、政治家、文学者、芸術家、歴史 学者、農学者、翻訳家などが大勢現れ、新疆の各民族の文化の発展を強力に推進した。明清時代、イスラム文化の影響を受け、新疆の各民族の文化は域外の文化を吸収したり、それと衝突したりする過程の中でさまよいな がら発展した。近現代以降、辛亥革命、ロシアの十月 革命、五四運動、新民主主義革命の闘争の影響の下で、 新疆の各民族の文化は現代化へとモデルチェンジをし、 各民族の国家アイデンティティーと中華文化としてのア イデンティティーは新しい高みに達した。新中国の成立後、新疆の各民族の文化はかつてない大繁栄、大発展の 時期に入った。歴史が証明しているように、新疆地区で 多くの言語が併用され、交流が頻繁な時期は、各民族の 文化が勃興し、社会が進歩する時期でもある。国家通用言語文字を学び使用することは、新疆の各民族の文化を 繁栄、発展させる重要な歴史的経験である。

新疆の各民族の文化は一貫して中華文明の肥沃な土 地に根を下ろしており、中華文化の分割することのでき ない一部分である。早くもイスラム文化が新疆に伝わる前に、ウイグル族文化を含む新疆の各民族の文化はすで に中華文明の肥沃な土地で大いに繁栄していた。7 世紀のアラブ文明体系に源を発するイスラム文化は、9 世紀 末 10 世紀初めに至って、イスラム教の西域伝来につれ、 やっと新疆の各民族の文化に影響をもたらした。宗教の文化に対する影響には、自発的に受け入れる方途もあれ ば、また文化の衝突ひいては宗教戦争の強制的な方式も ある。新疆において、イスラム教はかなりの程度で後者 を通じて入ってきたもので、それによって、仏教が流行っていた時期に創造された新疆の各民族の文化芸術は深刻な破壊を被った。イスラム文化の新疆への伝来において、 新疆の各民族の文化は排斥することもあったが、それに もまして選択的な吸収と中国化させる改造を行い、中華 文明に属すという特質と方向を変えることなく、また中華文化の一部に属すという客観的な事実を変えることも なかった。9 10 世紀に生まれた英雄叙事詩『マナス』 は、キルギス族の歌手の代々の歌い継ぎと仕上げを経て、国内外に名声を博す長編叙事詩となった。15 世紀前後、 蒙古族のオイラートの英雄叙事詩『ジャンガル』は新疆 地区で次第に形成され、『マナス』『ケサル王伝』とともに中国少数民族の最も有名な 3 篇の叙事詩だと称賛され ている。ウイグル族の優れた文学作品は次々と現れてお り、代表的作品には『クタドゥグビリグ(福楽知恵)』『真 理の入門』『突厥語大辞典』『十二ムカーム』などがあり、 すべて中華文化の宝庫の貴重な作品となっており、新疆の各民族は中華文化の形成と発展に貢献している。

中華文化としてのアイデンティティーは新疆の各民族 の文化の繁栄発展の基礎である。歴史上、中央王朝が 新疆に対して効果的な統治を行い、社会が安定していた 時期は、新疆の各民族の文化と中原文化の交流融合に 滞りがなく、経済文化が繁栄を極めた。新疆の各民族 の文化が、仁愛を尊び、人民本位を大切にし、信義誠実 を守り、弁証法を重んじ、仲むつまじさを尊び、大同を 求めるという中華文化の思想を受け継ぎ、多様な分化を吸収融合し、性質が異なるものを受け入れれば、多元 的で一体化の特徴はもっと顕著になり、新疆の各民族の 文化はますます進歩する。新疆の各民族の文化が繁栄し 発展するには、時代と共に進み、開放包容の理念を樹 立し、中華各民族の文化との交流融合、世界の多くの 民族の文化との交流と学び合いを堅持し、各民族の精神 のふるさとを築かなければならない。

 

人民中国インターネット版 2019929

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