新疆の歴史に関する幾つかの問題(七)

六、新疆は以前から多種の宗教が併存している地区である

中国は古くから多宗教の国であり、組織化、制度化さ れているいくつかの大きな宗教の他に、民間信仰が数多 く存在している。中国の土地で生まれ育った道教と民間信仰を除いて、他の宗教は皆外国から伝わってきたもの だ。新疆地区は以前から多種の宗教が併存している。一 つの宗教あるいは二つの宗教が主となり、多くの宗教が 併存することは新疆の宗教の構図の歴史的特徴であり、融合と共存は新疆の宗教関係の主流だ。

新疆の多種の宗教が併存する構図の形成と発展変化 は長い歴史的過程を経てきた。早くも紀元前 4 世紀以前、新疆で流行したのは原始宗教であった。仏教は紀元前1 世紀頃に新疆地区に伝来し、4 世紀から 10 世紀にかけて最盛期に入った。同じ時期、ゾロアスター教が新疆各 地で流行した。16 世紀末から 17 世紀の初めにかけて、 チベット仏教が新疆北部で次第に盛んになった。道教は5 世紀前後に新疆に伝わり、主にトルファン、ハミなどの地区で盛んになり、清代になって新疆の大部分の地区 に伝わり一時的に復興した。マニ教とネストリウス派キ リスト教は 6 世紀に相次いで新疆に伝わった。10 世紀から 14 世紀にかけて、ネストリウス派キリスト教は回鶻などの民族の信仰につれて盛んになった。

9 世紀末から 10 世紀の初めにかけてカラ汗王朝はイスラム教を受け入れ、10 世紀の中頃に、仏教を信仰して いた于闐王国に対して 40 年余りにわたる宗教戦争を発動し、11 世紀の初めに于闐王国を滅ぼし、イスラム教を 強制的に推し広め、この地区における仏教の千年余りの 歴史を終わらせた。イスラム教の絶え間ない伝播につれ、ゾロアスター教、マニ教、ネストリウス派キリスト教な どの宗教は日に日に衰えていった。14 世紀の中頃、東チャガタイ汗国の支配者は戦争など強制的な手段によってイ スラム教をタリム盆地の北端、トルファン盆地、ハミ一 帯に次第に推し広めた。16 世紀の初めになると、新疆ではイスラム教を主とし、多くの宗教が併存する構図が形 成され、また今日まで続いており、現地の住民がもとも と信仰していたゾロアスター教、マニ教、ネストリウス 派キリスト教が次第に消失したが、仏教と道教は依然として存在していた。17 世紀の初めにオイラト人はチベッ ト仏教を受け入れた。18 世紀頃から、キリスト教、カトリック、ギリシア正教が相次いで新疆に伝わった。

現在新疆にはイスラム教、仏教、道教、キリスト教、 カトリック、ギリシア正教などの宗教がある。モスク、 教会堂、寺院、道観などの宗教活動の場所が 2 4800 カ所あり、宗教関係の教職者が 2 9300 人いる。そのうち、モスクは 2 4400 カ所、仏教寺院は 59 カ所、道観は 1 カ所、キリスト教会(活動場所)は 227 カ所、カトリック教会(活動場所)は 26 カ所、ギリシア正教 会(活動場所)は 3 カ所だ。

世界中の大多数の国と同様に、中国は政教分離の原則 を堅持している。いかなる宗教も政治、政府の活動に干 渉してはならず、宗教を利用して、行政、司法、教育、婚姻、計画出産などに干渉してはならず、宗教を利用し て、正常な社会秩序、業務秩序、生活秩序を妨害しては ならず、宗教を利用して、中国共産党と社会主義制度に 反対し、民族の団結と国の統一を破壊してはならない。

新疆は宗教信仰の自由という憲法の原則を全面的に貫 徹し、宗教を信仰する自由を尊重すると同時に宗教を信 仰しない自由も尊重する。宗教を信仰する人と信仰しない人、異なる宗教を信仰する人、異なる宗派を信仰する 人の間で紛争を起こすことを決して許さない。新疆は一 貫して各宗教が平等であることを堅持し、すべての宗教 を分け隔てなく扱い、ある宗教をひいきすることもある宗教を蔑視することもない。いかなる宗教も他の宗教を 超えた特別な地位を享有することはできない。新疆は一 貫して法の下の平等を堅持し、宗教を信仰する人と信仰 しない人が同等の権利と義務を有し、どのような人、どの民族、どの宗教を信仰する人でも、法律に違反したら 法によって処置されなければならない。

社会に適応することが宗教の生存、発展のすう勢と法 則だ。中国の宗教発展の歴史は、宗教の中国化の方向を堅持してはじめて宗教がよりよく中国社会に適応できるということを証明している。新中国成立 70 周年の歴史 も、宗教が社会主義社会に適応してこそ健全に発展でき るということを証明している。独立自主、自弁の原則を堅持し、あらゆる「脱中国化」の傾向を防止しなければ ならない。世俗化、現代化された文明的な生活様式を大 いに育成、提唱し、無知で立ち遅れた、古いしきたりや 悪習を捨てなければならない。宗教の中国化という歴史的伝統を大いに発揚し、中国の各宗教を社会主義の中核 的価値観でけん引し、中華文化で潤し、宗教の教義と中 華文化を融合させるように努め、イスラム教を含む各宗 教が中国化の道を歩むよう積極的に導く必要がある。

 

人民中国インターネット版 2019929

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