新疆の歴史に関する幾つかの問題(八)

七、イスラム教はウイグル族が生まれつき信仰していた宗教ではなく、しかも唯一信仰する宗教でもない

ウイグル族の祖先は最初に原始宗教とシャーマニズム を信仰したが、その後、ゾロアスター教、仏教、マニ教、 ネストリウス派キリスト教、イスラム教などを相次いで信仰した。唐宋の時代、高昌回鶻王国と于闐王国では 王公貴族から一般庶民までおしなべて仏教を信仰して いた。元代には、大量の回鶻人はネストリウス派キリス ト教に改宗した。今日でも、一部のウイグル人は他の宗 教を信奉し、宗教を信仰しない人もたくさんいる。

イスラム教が新疆地区に伝わったのは、イスラム帝国 の台頭やイスラム教が西から東へと広がったことと密接 に関わっている。ウイグル族がイスラム教を信仰したのは、当時の民衆が自主的に改宗、転換したのではなく、 宗教戦争と支配階級による強制的な普及の結果だった。 このような強迫は今日ウイグル族の人々がイスラム教を 信仰する権利を尊重することに影響を及ぼすことはないが、それは一つの歴史的な事実である。イスラム教はウ イグル族が生まれつき信仰していた宗教ではなく、唯一 信仰する宗教でもない。

新疆のウイグル族、カザフ族などの祖先はイスラム教 を受け入れる過程で、これらの民族のもともとの信仰や 文化伝統を保っただけでなく、新疆地区の他の民族と 内地の文化も取り入れた。これによって一部のもともと の宗教観念、儀式、風俗習慣が進展変化を経て存続し、 また互いに影響し合い、鮮明な地域的特性と民族的特色 を持った新疆イスラム教を次第に形成した。例えばイス ラム教はもともとアッラー以外のいかなる人あるいはモノを崇拝することに反対しているが、ウイグル族などの 民族は今でもマザール(聖廟)崇拝を行っており、これ はイスラム教の現地化の最も代表的な表れだ。マザール で棒を立てたり、旗を掲げたり、羊の皮をぶら下げたりする習俗はシャーマニズムと仏教など多様な宗教の遺物 だ。また、乾隆年間に建築が始まったグルジャ(伊寧) 市のバイトゥラモスク(拝図拉清真寺)、ウルムチ(烏 魯木斉)市の陝西大寺などは建造時、内地の伝統的な楣式構造を採用した。これらは皆イスラム教の中国化の具 現である。

特に注意すべきなのは、1970 年代末から 1980 年代 の初め以降、特に冷戦終結後、国際的な宗教的過激主義 思潮の影響を受けて、宗教的過激主義が新疆で繁殖、蔓延し、暴力テロ事件が頻発し、新疆の社会の安定と人民 の生命と財産の安全に極めて大きな危害を及ぼしたこと である。宗教的過激主義は宗教という衣をまとい、宗教 という看板を掲げて「神権政治理論」「宗教至上主義」「異教徒理論」「ジハード主義」を鼓吹し、暴力テロを扇動し、集団の対立を引き起こし、イスラム教などの宗教が提唱 する愛国、平和、団結、中庸、寛容、善行の教義に背い ており、その本質は反人類、反社会、反文明、反宗教的 である。宗教的過激主義は宗教に対する裏切りであり、宗教的過激思想を宗教問題と決してごちゃまぜにしては ならず、宗教問題という看板を掲げて宗教的過激思想を 決して弁解してはならず、宗教問題に関わることを口実 にして宗教的過激思想を一掃する責任から決して逃げてはならない。新疆は世界の経験を参考にし、自らの実情 と結びつけて、確固とした措置を講じ、法にのっとって 反テロリズム活動、脱過激化闘争を展開し、暴力テロ勢 力がのさばるのを厳しく取り締り、宗教的過激思想の繁殖蔓延を効果的に阻止し、新疆の各民族人民の安全に 対する切実な願いを満足させ、基本的人権を保障し、社 会の調和と安定を守っている。新疆の反テロリズム、脱 過激化闘争は人類の正義、文明の邪悪、野蛮に対する闘争であり、支持、尊重と理解を当然得るべきである。世 界には反テロリズムと人権の「ダブルスタンダード」を 励行する国、組織があり、人がいて、これに対して不当 に非難し、でたらめを言っているが、それは人類の公理と基本的な良知に背いており、すべての正義と進歩を愛 する人が決して承知できないことである。

 

人民中国インターネット版 2019929

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