「一帯一路」イニシアチブの細部をしっかりと描き上げる


中国国際経済交流センター副理事長 魏建国=文

 

 


 

 習近平国家主席の欧州訪問期間中の3月23日、中国とイタリアは「一帯一路」構築の共同推進に関する覚書に署名した。イタリアはこれにより「一帯一路」共同構築に参加する初めての欧州主要先進国となった。これは「一帯一路」イニシアチブにとって深遠な意義のあることである。


「一帯一路」構築に参加した初めてのG7国


 2015年に中国とフランスが「第三国市場協力に関する共同声明」を発表してから、中国は次々と日本、スペイン、オーストラリアなどの国々と第三国市場協力の枠組みを打ち立てている。フランスは中国と第三国市場協力を行った最初の欧米の大国であり、その他の先進国に明らかなモデル効果を生んだ。


 今回、イタリアは「一帯一路」共同構築の覚書署名により、124番目の参加国となり、同様に大いに手本となる効果があって、「良いスタートを切った」と言える。

 
 まず、署名した協議の性格から言えば、企業や経済貿易分野の第三者協力協議とは異なり、「一帯一路」共同構築の覚書がカバーする範囲はより広く、ほとんど軍事以外のあらゆる分野を含んでいる。中国とイタリアはもともと経済の相互補完性が強く、経済関係が極めて緊密で、今後この綱領的な文書の下で、より広範で深い協力が展開されるだろう。


 次に、地理的に言えば、イタリアは「一帯一路」イニシアチブの重要な支点であり、中国と欧州を結び付けている。12世紀のイタリアの探検家マルコ・ポーロは、陸路東洋に向かい、海路故郷へと戻った。彼の足跡は今日のシルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロードと重なる。マルコ・ポーロが欧州人に知られていなかった中華文明を発見した数百年後に、中国はイタリアを通じて欧州を「一帯一路」イニシアチブの中に迎え入れたのだ。今日、この古い道は新たな輝きを放ち、これが持つ意義はもはや歴史と文化の範疇を超えるものとなっている。現代のシルクロードは再びユーラシア大陸をつなぎ、新たな運命共同体をつくり上げるだろう。
最後に時間から言えば、中国とイタリアが覚書に署名したのは、第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開催まであと1カ月ほどという時であった。G7のメンバー国であるイタリアの先導の下で、より多くの国がより積極的にフォーラムで協力について検討することになるだろう。例えば英国はハモンド財務大臣を派遣し、中国と二国間経済・金融協力などについて検討する予定で、英国メディアはイタリアに学ぶべきだとまで言っている。このような前向きなムードの中で今回のフォーラムはより豊富な成果を得るに違いない。


欧州の変わりつつある観点


 実際にはイタリアに続いてルクセンブルグもまた中国との覚書に署名し、スイスも「一帯一路」イニシアチブを支持する協定を結ぶ計画である。欧州国家が相次いで「一帯一路」イニシアチブへの支持・加入を表明する背後には、同イニシアチブに対する欧州の考え方のひそかな変化がある。

 
 現在の世界はここ100年来未曾有の大変局を迎えており、世界経済の回復は遅く、米国の保護貿易主義の台頭もあり、自由貿易体制は大きな試練にさらされている。こうした状況の下で、欧州は「一帯一路」イニシアチブが中国にも欧米にも利益があり、世界中に利益があると認識し始めている。私が欧州のシンクタンクの人と交流を行った際、彼らの見方に二つの大きな変化があったと感じた。


 一つは、ためらい傍観する態度から、積極的な理解と参加へと変化したことだ。以前、欧州の学者はしばしば、プロジェクトの資金はどこから捻出し、どこへ用いるのかと聞いたものだ。しかし今年4月に私がハンガリーや英国を交流活動で訪問した際には、こうした問い掛けは減り、企業界や政府の代表はみな「一帯一路」イニシアチブへの積極的参加の意向を表明した。特に英国の反応は意外なほどで、私はそれまでEU離脱によって英国が保守的になるだろうと思っていたが、英国のシンクタンクの代表は交流の際に、EU離脱は中国と英国の協力に影響せず、両国の金融面の相互補完性には変わりはないと語った。

 
 そしてもう一つは、「一帯一路」イニシアチブの関連情報に切迫した需要があることだ。欧州の専門家・学者は、現在どういった国でどのようなプロジェクトが展開されているかなど、イニシアチブの発展状況に非常に関心を持っており、具体的に言えば二つの早急に解決すべき課題がある。一つはプロジェクト情報の不足である。欧州では現在、物品貿易・金融開放・投資などの分野でどういった措置があるかという情報が不足している。もう一つは、橋渡しの手段が少ないことで、欧州では通常、大使館・商会を通して、ひいては大企業のサイトによって中国側に連絡し、情報を得ている。


 欧州が「一帯一路」イニシアチブに対する理解を深めるにつれ、新たな変化が生まれつつあることに対し、中国はさらに踏み込んだ活動を行う必要があると私は痛感している。続いて、われわれは現地のシンクタンクと政策についての情報交換を強化し、各地の需要に応じてプロジェクトのプロモーション活動を行うべきだ。今回、欧州のシンクタンクとの交流を行った際、彼らは中国のインターネット・通信技術に興味を抱いており、関連分野の企業が欧州に来て交流を行ってくれることを希望していると、はっきり言明している。

 
 イニシアチブが提起されてから現在までの5年余り、われわれが描いてきたのは大きな写意画であり、世界に向けてイニシアチブの全体イメージを描き上げていたとするならば、現在はその細部を描く時期である。われわれはより細部に注意を向け、細やかな筆遣いで「一帯一路」イニシアチブを描き上げなければならない。

 

人民中国インターネット版 2019426

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