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書籍「小人国」の秘密――中国のトモエ学園を語る

 

編=張道同 解説=李躍児

(京華出版社 2010年5月出版)

トモエ学園といえば、黒柳徹子さん・トットちゃんの舞台だった。しかし、太平洋戦争の戦火に焼かれ、すでに姿が消えてしまっている。

しかし、現在、中国の北京郊外に実際に「トモエ学園」という幼稚園が存在している。園長の李躍児先生は世界中に知られる『窓ぎわのトットちゃん』に感動し、子どもたちが自由に成長できるように中国の「トモエ学園」を創立したという。

本書のきっかけは『小人国』というあるドキュメンタリー映画である。2006年から2008年の間、監督の北京師範大学、張同道教授らがトモエ学園において2歳から6歳までの子供たちの生活ぶりをそのままに記録。その後、18回のドキュメンタリードラマも誕生している。

2歳の錫坤くんは、なぜほかの子どもたちの靴を彼よりも大きいゴミ箱に夢中になって捨てるのか。それは彼が「研究家」になる第1歩かもしれない。5歳の「スーパーマン」である池亦洋くん。ほかの子どもたちの両親から退園させるよう迫られたとき、園長先生は、彼は典型的な男の子であるだけで、必ず変わっていくと説き伏せ、彼を守っている。辰辰という女の子は、一年中、毎朝幼稚園の入り口で誰かを待っている。お姫様みたいな柔ちゃんはメルヘンの世界から現実に戻ってこられるのか。3歳の一ちゃんはいつも1人で遊び、仲間がほしくないのか……彼らはそれぞれ個性を持っているが、先生方はその個性を尊重しながら、集団生活のルールを細心に教える。

「一人っ子政策」の中国では、子どもたちはよく「小皇帝」と呼ばれる。「小皇帝」たちの未来はどうなるのか。中国の児童教育が抱えている課題は少なくない。トモエ学園は伝統教育の殻を破っている。ここを卒業した子どもたちの将来の様子を想像してみたい。

 

人民中国インターネット版 2010年6月22日

 

 

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