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中国で話題沸騰の宮廷ドラマが日本登場 『宮廷の諍い女』

社会現象になった台詞・黒髪  清朝後宮の物語に世界が注目

 

于文=文 『甄嬛伝』製作チーム=写真

2013年6月18日から『宮廷の諍い女』(中国題『後宮—甄嬛伝』、以下は『甄嬛伝』)が、日本のBSフジテレビで放送開始された。全76話を3部に分け、月曜から金曜まで毎日午後5時から1話ずつ放送中で、10月まで放送される予定となっている。このドラマは、人気小説『後宮—甄嬛伝』を脚色し中国では『甄嬛伝』として放送された宮廷ドラマだ。雍正年間(1722~1735年)に、後宮に入った側室甄嬛が宮中で体験するさまざまな苦難、宮中の女たちの謀略から、渦巻く愛憎を描いている。放送開始後、日本の視聴者の注目は日増しに高まっており、視聴率の上昇とともに、これまで韓国ドラマのファンだった層からもこのドラマに熱中する人たちが出現している。

このドラマは、日本での放送開始に先立って、米国のニューヨーク、韓国、ベトナム、中国の台湾地区で相次いで放送された。多チャンネルの台湾地区では大人気のトレンディードラマでも視聴率は2~3%程度だが、このドラマは大陸部のものとしては異例の1.94%を記録。ニューヨークの中国語テレビ局でも史上最高視聴率を更新するほどの人気となった。その後ほどなく、シンガポール、マレーシア、タイ、香港地区でも相次いで放送されて話題になった。異なった文化を持つ地域でファンを熱中させるこのドラマ、その魅力はどこにあるのだろうか。

「甄嬛体」がネットを席巻

ドラマ『甄嬛伝』は中国大陸部で2012年3月から各テレビ局で相次いで放送され、そのたびに極めて高い視聴率を稼ぎ出した。初放送から1年以上が経過した今年の夏休み編成でも、多くのテレビ局が再放送していた。

ドラマの人気が沸騰するにつれ、登場人物の話し方を真似ることが流行となった。古色蒼然とした台詞、急がずよどまずの口調、あわてず騒がずの語気、鷹揚で落ち着いた態度が多くのネットワーカーを魅了、彼らはネットの書き込みやチャットでこれを真似るようになった。中国のネットワーカーは3億人を超えていると言われ、ネット上の流行はあっという間に人々の普通の暮らしに入り込む。こうして「甄嬛体」と呼ばれる文体が、世の中で大ブームになった。例えば、ケーキをプレゼントしてくれた彼氏を、女の子は「本宮」(皇后などの一人称)「極好」(とてもいいという意味の宮廷言葉)などの言葉を使ってほめるのだ。一人称に「小主」(まだ皇帝の寵愛を受けていない女性の一人称)を使うだけで、恋人たちをぐっと楽しい気分にさせる。交通管理当局が連休の旅行での安全対策を呼びかけるメッセージにこの「甄嬛体」を使い、大きな注目を集め効果を上げたこともあった。

台湾では『甄嬛伝』が放送されるや、“黒髪旋風”が巻き起こった。「小主」の美しい黒髪を目にした女性たちが、劇中の女優たちを真似ようとヘアーサロンに押しかけたため、黒や濃い茶褐色のヘアーカラーが人気商品となった。台湾の美髪ブランド美吾髪企画部の周佳蓉マネージャーは、「以前の明るい色、赤い色のブームに比べ、黒髪は髪を傷めないだけでなく、精神面や仕事能力が高まる効果もあるようです。スターの影響で、今は比較的濃い色のヘアーカラーが女性客に最も支持されています」と話している。  米国の華僑・華人向けDVDショップでは、同作品は完全に品切れになってしまった。ニューヨークの中国語テレビ局のトップ蒋天龍氏はこの作品の人気ぶりについて次のように語っている。「私の手元の正式版DVDは、この数カ月で数百人のところを回ってきたものです。主演のスン・リー(孫儷)、雍正帝を演じたチェン・ジエンビン(陳建斌)などの俳優は米国華僑たちに認められ人気となりました」

日本の主婦もとりこに 

日本では、同作品は今年6月18日から『宮廷の諍い女』のタイトルでBSフジテレビで放送され、話題を呼んでいる。同局によれば、第1回が放送された後、同ドラマの公式ホームページのクリック率は5倍に増えたという。  

このドラマの最も熱心なファンは主婦と学生だ。ドラマに熱中するあまり生活にも影響が出ている人も少なくないという。ある主婦は「76話は確かに長いですが、私はいつも家事を早々に済ませ、テレビにかじりついています」と話している。また、ある学生は「一部の学生が中国ドラマを見るために授業を抜け出して帰ってしまうと先生が話していました。実は私もそうしたいくらいです」と、学校での人気ぶりを説明している。またネットではこんな書き込みも見られた。「清朝の歴史に興味がわいてきて、毎日ネットの百科ページを見ています」  日本の視聴者をとらえて離さないのが、華やかな衣装や小道具、セットだ。多くの視聴者が、その衣装や髪型に魅せられたと話しており、女優たちの美しさも評判だ。彼女たちの演技も賞賛されており、「甄嬛は当初は天真で愛らしい少女だったのに、幾多の苦難を味わい、権威を振るう後宮の主になっていきます。その変化を表現するスン・リーの演技には驚かされました」などの声が聞かれる。

 

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