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豪放、大胆に戯曲人物を描く画家 馬書林氏

 

本誌特約ライター・文君=文

プロフィール
馬書林(Ma Shulin) 1956年遼寧省瀋陽市生まれ。1982年魯迅美術学院卒業。中国美術館副館長、魯迅美術学院教授、中国美術家協会中国画芸術委員会副主任、中国美術家協会理事、中国書道家協会会員。作品集に『筆墨本無界――馬書林画集』『書林画戯』など。

細密画に長けていることで知られる馬書林氏は現在、戯曲人物画の第一人者として画壇に名を馳せている。馬氏が描く戯曲人物画はサイズが大きいだけでなく、場面も広大である。絵の中に、伝統的な山水画の美、古典的な境地の美、現代の抽象的な美などの審美的な視覚効果が融合されている。山水画の写意という技法のほか、伝統的な戯曲人物、民間の美術造形や装飾構成主義などの特徴から影響を受け、素朴でありながら強みを感じさせ、大胆で豪放な画風となっている。

クローズアップで舞台効果

構図としては、馬氏は特にクローズアップを愛用している。すなわち、人物は画面中心の半分以上の空間を占め、色彩と墨の重なり合いを通し、装飾味の舞台効果が現れる。代表作の『国粋』『做功先生』『扎大靠』などに描かれた人物像は、生き生きとしており、強固さに富み、筆致は流麗で豪放さを感じさせている。

馬氏は水墨そのもの自体の特性を発揮させ、それを利用して作中人物とぴったりと合わせている。また、誇張した写意法を使用し、作品の柔軟さを見事に表している。『靠把老生』『寻常谁与坐从容』などの作品の人物像は、従来の伝統的な文人画の画風にこだわらず、うぬぼれたり意気消沈したりする傾向を感じさせない。

現代絵画と調和させて融合

馬氏の水墨画の特色としては、形も色も鮮明で、気合いがこもっていることが挙げられる。それは、単なる伝統文化・思想を一貫して継承しているのみならず、伝統的な題材にある対象を現代絵画の形と調和し融合させていることである。馬氏は水墨写意の記号として戯曲人物を描いている一方、言葉自体にとどまらない。この記号に含まれる水墨写意の文化的な意味及び水墨の伝統的なリズムが、現代の多元化した価値観における文化的な位置づけも表している。  

馬氏は芸術家として、奥深い考え方や思想を保っており、伝統芸術に対する理解は以下のようだ。「伝統というのは、元代・明代・清代以降の文人画という形よりずっと幅が広くて、もっと大きな包容力があります。青銅器、彩陶、岩絵、彫刻、建築、工芸、さらに途切れることのない民間芸術などによって、中国の巨大な芸術体系が成立しています。この体系の中で、いつまでも続く創作こそが、精神的な活動の延長だと思っています」。  

中国伝統芸術の包容力を理解しているからこそ、馬氏は伝統芸術と現代的な手法を結びつけ、自分なりの画風を作り上げた。戯曲の内容自体は彼が表現しようとするもののすべてではなく、このような媒体を通して、中国の伝統文化、伝統絵画、現代絵画の考え方を結びつけ、また更なる斬新な作品を世に見せることにも努力している。

 

 『楊玉環』

34cm×34cm 2013年

 

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