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世界遺産・三清山 花崗岩が織りなす神秘の世界

 

雲霧は三清山に神秘のベールをかぶせる

水が軽やかに流れ、心が落ち着く氷玉洞

小さな区域に花崗岩の石柱や山峰が集中し、さまざまな形状の花崗岩、多種多様な植生、遠近の変化に富む景観、心揺さぶる奇観が結びついて、唯一無二の美的効果を生み出し、人々を魅了する自然美を呈している――

2008年7月8日、江西省上饒市の三清山国家地質公園が世界遺産に登録された際、世界遺産委員会はこのような賛辞を贈った。

泰山が雄々しく威厳ある山、華山が高く険しい山、黄山があでやかで美しい山であるとしたら、三清山は味わい深く、神秘的な山である。まさに、「清水が芙蓉を育み、大自然が装飾を施す」境地と言える。

列車は上饒市玉山県を出発し、群山の懐へと入ってゆく。重なり合う山々を抜けて、三清山景勝地の南山ロープウェー乗り場に着いた。ロープウェーでゆっくりと斜面を登る。窓からは連綿と続く山々やさらさらと流れる流水が見える。薄い霧が舞い上がり、三清山の姿が遠い雲霧の中にぼんやりと浮かぶ。

三清山という名は、玉京峰、玉虚峰、玉華峰の三峰が高く聳える様が、道教の三清(元始天尊、霊宝天尊、道徳天尊)がその頂上に並んで座っているようであることから付けられた。「江南随一の仙峰、天下唯一の福地」と称される。

三清山風景区の総面積は756.6平方メートル、そのうち核心エリアは230平方メートル。主峰の玉京峰は標高1819.9メートル。南清園、西海岸、三清宮、梯雲嶺、玉京峰、陽光海岸などといった十大景勝地を有する国家重点風景名勝区である。

三清山は申請からわずか3年で世界遺産に登録された。専門家は三清山について、花崗岩からなる景勝地であり、花崗岩の多彩な結合や成長、ユニークな地形、美しい風景は、「花崗岩によって生み出され、進化した歴史の博物館」であると評価する。ある国外の専門家は「西太平洋で最も美しい花崗岩の峰林」と称えた。

三清山の中に身を置くと、山々に抱かれて心地よい気分になる。辺りには雲霧が漂い、緑が生い茂り、花が咲き誇る。心地よい気分というのは、自然を身近に感じたときに湧き上がってくるものなのだ。

西海岸

山の北側から出発し、山中の階段を辿って、西海岸景勝地に到着した。山の斜面に沿って設けられた桟道は非常に険しい。半年もの時間をかけて少しずつ建設されたのだという。桟道を歩くと、奇峰が林立し、怪石が突き出ている様子が目に入る。深さ数百メートルの谷底には、さまざまな形状の石筍が天を突きさすように聳えている。峡谷には雲海が広がり、霧が立ち上り、奇岩怪石が雲霧の中から突如として顔を出す。歩いても歩いても、奇観は後を絶たない。

雲海をまとった主峰

標高1600メートルの龍門第一関までやって来ると、桟道は90度カーブし、目の前に三清山の3つの主峰、玉京峰、玉虚峰、玉華峰が現れた。すると、風が吹いて雲霧がかかり、三峰は隠れてしまった。辺りは神秘的な雰囲気に包まれた。

西海岸の次は玉京峰景勝地へ向かう。三清山では「玉京峰に登らなければ、三清山の良さを味わうことはできない」と言われている。玉京峰の頂上に立って四方を眺めると、玉京峰、玉虚峰、玉華峰は、3人の道士が雲の間に座って、三清山の美しい風景を静かに観賞しているように見える。ここでは、蓬莱三峰や垂直に聳え立つ飛仙谷、千仞の王母谷などの絶景を楽しみ、雲海や日の出、御来迎を拝むこともできる。

道家の深い思想が込められた三清福地の「先天八卦」の配置

山間の小道を迂回して、三清山の重要な観光スポットである三清宮にやって来た。三清山は道教の聖地として、1600年余りの歴史を持つ。そのため、三清福地やその周辺には歴史ある多様な人文景観や道教の古建築が数多く残る。三清福地は三清山の古建築の中心。道士の葛洪が1600年余り前に残した霊泉の井戸は今なお涸れることはなく、宋代に建設された三清宮と石坊も保存されている。摩崖石刻や古墓には、道家の「法本自然」の思想がはっきりと表れている。

三清宮景勝地の古建築群に見ることができる「先天八卦」の配置も非常に面白い。三清宮は全体の中心に置かれ、ほかの建造物は三清宮を中心として八方に配されている。先人たちは「道法自然」の法則を十分に運用し、借景を利用して建造物を構築し、自然と人文景観の見事なまでの一体化を実現したのである。

 

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