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ベースラインに沿って駆ける 北京交通大学 野球チーム

 

北京交通大学野球チーム

日曜日の午後、北京交通大学のサッカー場で、若者たちが野球をしている。

「ヒット!ヒット!ホームラン!」声援がやむと同時にバッターはバットを振ったが、空振りの結果に終わった。傍らのチームメイトが「打てないよ。もっとバッティングを練習すれば打てるよ」と声をかける。

「もう一本!」とまた声援があがる。今度のバッティングには、グラウンド全体から歓声があがり、選手の一人が本塁に滑り込み、1点が入った。

彼らは、北京交通大学野球チームで、2003年の設立、現在は21人の部員がいる。みな同校の学生であり、毎週日曜日に学校のグラウンドで練習をしている。チームは、2005年中国大学生野球リーグで、第8位の成績をおさめている。

任智雲さんは今年大学四年生、現在この野球チームのキャプテンである。任さんによると、野球チームには、大学三年生、四年生はそれぞれ5名であり、そのほかは二年生である。

北京交通大学は、2002年にソフトボール課を設け、当初は、学生たちの余暇を豊かにするためのものだった。開設と同時に、多くの学生が集まった。二年目、同校では、野球チームを設立した。その後、卓越したレベルの日本人留学生がチームに加わり、それによって同校の野球人気に火がついた。野球チームの練習時には、多くの学生がグランドのまわりで見物をした。

メンバーの一人、蒋春雷さんは、一年生から練習を始めている。「はじめは、ガールフレンドが興味を持っていたので、彼女と一緒に遊んでいました。そのうち自分も野球に夢中になり、チームに入ることができて、とても達成感があります」という。野球チームのメンバーたちは、みな彼と同じような経歴を持っている。大学一年生で、野球と関り始め、二年生でチームに入る。三、四年生になると、試合に参加する。ソフトボール、野球に関わってから夢中になるまで、要する時間は2年、技術的に習熟し、リーグ戦に参加することができるようになると、まもなく卒業である。野球をしている時間は短いが、みなの野球に対する情熱は、常識を超えている。任さんは、「僕たちは、とても野球が好きで、練習のあとには、さらにインターネット掲示板で討論をしています。テレビの試合を録画し、その一部を研究材料としてみんなに提供してくれる人もいます」という。

毎週の野球チームの練習では、毎回、すでに卒業したOBたちもいつも数人が参加する。劉全さん、李星さん、呉俊さんなどである。劉全さんは、野球チームの最初のメンバーであり、すでに卒業して4年が経つが、ほぼ毎週、訪れてバッティングをしている。劉さんは、「学校を離れたとはいえ、野球がとても好きです。校外で野球ができる場所は、とても少ないので、毎週、学校に戻りたくなるのです」という。同じく卒業して4年が経つ呉俊さんは、「私は野球に情熱を感じます。学生時代、野球チームに入るには、各段階の選抜がありました。学生時代は本当に短く、このスポーツから離れたくないのです」という。昔のメンバーは、もうチームとともに試合に参加することはできないが、彼らは、自分の技術を若い学生たちに教えることを喜びにし、また野球というスポーツがさらに多くの人々に理解されるよう努力している。

野球チームの困難

野球チームは北京交通大学のキャンパスでは、かなり有名である。けれど、サッカー、バスケットなどのスポーツと比べると、その人気と参加人数は、まだまだである。また野球を練習に関する道具類、ユニフォーム、グラウンドの設備などは割高で、キャンパスのなかで、野球チームは多くの困難を抱えている。

2006年、北京交通大学の野球チームのコーチが仕事の配置転換により学校を離れ、学校側は、野球の選択課目をとりやめた。野球チームは、指導者不在の状態となった。チームの日ごろの練習は、OBたちが指導した。劉全さんは、「自分たちで続けていくように、と言い残してコーチは去っていった。それは、野球チームが一番大変な時だった」という。

ソフトボール、野球の授業はなく、コーチによる訓練もなく、練習場としてサッカー場を提供するほか、学校側からの支えはなく、チームの存続がメンバーの肩に降りかかってきた。けれど、困難は多くても、メンバーたちの野球に対する情熱は、少しも減ることがなかった。そののち、メンバーたちは、幾多の曲折を乗り越え、元ナショナルチームの李春生コーチを探し当てた。何度もの懇願に答え、李コーチは無料で、チームのトレーニングを指導することになった。また学校側も、野球を学んだことのあるクリケットのナショナルチームのコーチによる授業により、ソフトボールと野球の課目を復活させた。

装備の不足は、チームで解決するしかなかった。愛するスポーツのために、メンバーたちは、自分でソフトボールと野球の道具を買い、李星さんのユニフォームや道具は自分の奨学金で購入したものである。また、自分たちの必要を満たすだけでは満足せず、メンバーたちはチームの発展のために可能性を切り開くべく、未来の新メンバーのために必要な道具を揃えた。ある海外留学したOBの一人は、1万元以上もの装備をチームに寄付した。また多くの練習用の設備、例えばネットなどは、メンバーたちが自分の手で作ったものである。

チームは、新人が入らない危機に陥ったこともある。チームを発展させるため、メンバーたちは、校内放送のなかに、インタビューの形式による広告を打ったこともある。また同時に学校のホームページの掲示板に新人募集の知らせを書き込んだ。「同級生たちをひきつけるために、装備はこちらが提供、興味のある人はまず体験を、私たちが教えます、とアピールしました」とメンバーの一人はいう。

メンバーたちの努力のもと、新人は絶え間なく応募してくるようになった。現在、北京交通大学の野球チームは、維持から発展段階に入り、次第に成熟し、野球もすでに学校のなかで、一定の基礎ができあがっている。

メンバーたちが夢みる 大学生野球リーグ 

野球チームのみなにとっては、全国大学生野球リーグで好成績をとるのが一番の夢である。

全国大学生野球リーグは、2004年に始まり、中国における大学間のもっともレベルの高いリーグ試合である。主催は、中国大学生体育協会、中国野球協会による。北京、上海、広西チワン族自治区、青海、浙江、遼寧、河南などの省と直轄市の学校が参加する。北京、上海の大学チームは数多く、事前に予選がある。任さんによると、北京には12チーム、北京交通大学はそのうち4、5位である。

5月にはいると、北京地区では、予選が始まり、北京交通大学野球チームも全身全霊を打ち込む。「チームの雰囲気はすごくいいですよ」と任さんは自信のある様子だ。北京以外に、青海、遼寧省にも、高レベルのチームが1つずつあり、広西チワン族自治区にも、2チームがある。これらの大学には、ソフトボールと野球の特待生がいる。もし全国試合に出ることになれば、彼らと戦うことになる。「その面白さがあるので、ずっと続いてきました」と任さんはいう。僕らにとって野球は一つのプロジェクトであり、そのために努力、奮闘し、生活が充実するのです」。現在、北京の予選は開催中であり、任さんたちは、七、八月に行われる全国リーグを目標に奮闘している。(文 写真=李家宇)

 

人民中国インターネット版 2009年6月23日

 

 

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