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美食が好きな林竹さん(写真・本人提供) | 日本の漫画やアニメは1980年代から中国で見られるようになり、大人気となった。1980年代生まれの世代は幼いときから日本のアニメを見て育ってきたが、それに惹かれて日本に留学する人も数多く現れた。国立大学ばかりでなく、学費の高い私立大学を含めて、漫画やアニメを学ぼうとする中国人留学生が増えているという。もちろん、その背景には中国経済の高度成長があるが、彼らの心の中では漫画やアニメへの情熱の火が依然として燃えているように見える。
日本の雑誌「グラフィティ」に漫画を掲載したこともある中国の美人漫画家の林竹さんもその中の一人だ。学芸大学で平面デザインを専攻としていたが、漫画の創作も続けていた。日本に留学している間、日本の雑誌ばかりでなく、中国国内の「新浪網」にブログを開設し、数多くの漫画エッセイの作品を掲載してきた。そのうち、読者の食欲をそそるグルメシリーズと日本の会社で働く中での面白い出来事を綴ったシリーズが中国人ネット利用者の間で人気を集めている。
漫画エッセイ創作のきっかけや中日両国の漫画の現状について、日本での留学生活を終えて帰国したばかりの林竹さんに話を聞いた。
「日本漫画で自分の人生が変わった」
日本のアニメが中国に入ってきたときから、まだ小学生だった林竹さんは創刊号を含め、漫画雑誌を購入し始めた。漫画の影響について、「私の人生は漫画で変わったのです。日本の漫画からただの娯楽ではなく、夢や友情など多くの美しいものを学びました。夢が人間に与える影響は確かに大きいものです。」と林さんは語る。
確かに漫画は林竹さんの人生の軌跡を変えたと言える。高校卒業の年に、ちょうど中国の大学でアニメ専攻科が新たに設立された。林さんは両親を説得して中国伝媒大学(前身は北京広播学院)のアニメ専攻科に順調に入学できた。大学を卒業したら日本をこの目で見たいと思いつづけ、就職活動を一切することなく、日本留学の準備に没頭した。
漫画エッセイを選んだ理由
日本に行ってから、中国で目にした日本のアニメや漫画は氷山の一角に過ぎないことに気づいた。毎日膨大な量の作品を目にすることができるが、「最も好きな漫画やアニメは?」と聞かれると、林さんは高橋留美子、妹尾河童、けらえいこ、仲村佳樹、矢沢あいなど多くの名前を挙げた。そのうち、特に妹尾河童氏の漫画エッセイ絵本の極めて細い画風が自分の漫画エッセイの創作にも大きな刺激を与えたと言う。
日本では週刊誌に連載されるストーリー漫画が主流だが、なぜ林さんは漫画エッセイを選んだのだろうか。林さんは二つの理由を挙げた。一つ目は、中国の読者の事情が日本と違うことによるものだ。「中国の大卒やサラリーマンは、週刊誌で長い間長編漫画を読みつづける人は少ないのです。長いし、コマ割りの方式が複雑だから。それに比べて、漫画エッセイの場合は簡単で面白いのです。シリーズものではないから、後はどうなるのかとずっと気をすることもないのです。これのほうがより中国の事情に合っているのです、いわば「癒し系」ですね」
もう一つの理由は林竹さんの個性によるものだ。「フィクションだけで絵を描くのは得意でないのです。でも、日常生活の中で起きたことを描くのが大好きなのです。日常生活の中で面白いことがあったら、ひとりだけ知っているのはもったいないなあと思って、絵を描いてより多くの人に知ってもらいたくなるのです。これはいわば私の創作の原動力ですよ」と。(続く)
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林竹さんの「東京留学食生活」シリーズの漫画 |
林竹さんの「東京留学食生活」シリーズの漫画 |
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月17日
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