現在位置: ニュース>経済
中国で3つ目の世界経済危機が発生?

 

2013年は半分が終わったばかりだが、経済の鈍化、対外貿易の不振、債務の増加、株式市場の低迷、不動産市場の高騰に加え、人々をはらはらさせる銀行の資金不足などさまざまな不安要素があり、米国のサブプライムローン問題、欧州の主権債務危機に続く、3つ目の世界的な経済危機が中国から始まるのではないかとの憶測が飛び交っている。中国新聞社が伝えた。

これについて関連の専門家がこのほど北京ではっきりと指摘したところによると、世界は中国経済を見誤っている。実際のところ中国は今、改革の新たな時期にさしかかったのであり、新たな成長源は明確であり、中国が世界経済の「重大リスクエリア」になることはあり得ないという。

そもそも「危機」とは何だろうか。中国社会科学院(社会科学アカデミー)世界経済・政治研究所グローバルマクロ経済研究室の張斌主任によると、世界的危機とは通常は通貨危機、金融危機、経済危機を指し、通貨の急激な値下がり、金融システムの崩壊、経済運営の崩壊、企業の倒産ラッシュなどの形で現れるのが一般的だ。根本的な特徴は「コントロールを完全に失う」という点にある。この基準によれば、今は世界も中国も「危機」から遠い場所にいるという。

中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は、「ある国の経済成長率が7%に達しながら危機があるというなら、それ以外の国はどうしたらよいというのか。国内総生産(GDP)の成長率はある国の経済状況を最も直感的に判断する材料になる」と話す。

中国の公式データによると、今年第1四半期(1-3月)の中国のGDPは11兆8855億元で前年同期比7.7%増加した。成長率は12年末に下げ止まって「V字回復」を果たした後、再び低下したが、中国経済には「まだまだ切れる好カードがある」との判断から、ウォッチャーらは今年の中国の経済成長率は引き続き7%以上を維持すると予測する。

清華大学中国・世界経済研究センターの李稲葵主任は、「現在、中国経済の成長源は非常にはっきりしている」とした上で、中国経済は今、制度が変化する新たな時期にさしかかっており、新たな経済成長源には公共製品への投資が含まれ、具体的には都市建設、空気の浄化、水の処理などが含まれると述べた。

国務院発展研究センターの巴曙松研究員も次のように指摘する。中国のマクロ政策にはなお大きな展開の余地があり、たくさんの好カードを切ることが可能だ。都市化建設、鉄道への投資・融資の改革、新興産業、省エネ・環境保護などは、どれもみな未来の発展への潜在力を秘めている。

また専門家らの分析によると、中国はこれから、都市化や所得分配制度などの改革をめぐって新たな消費と投資を生み出すとみられ、中国経済の発展にエネルギーと可能性を与えることが予想されるという。

中国経済の発展を懸念する論調の中では、資本と金融リスクが重要な論点となっている。米国のウォール街を代表とする国際投資家の間では、金融危機後の中国では貸付と債務の対GDP比が大幅に上昇しているため、必ず通るであろう「デレバレッジ」の過程が中国の経済・社会に衝撃と動揺をもたらすことになる、との見方が出ている。

今年5月以降、中国の比較的ゆとりのある流動性と銀行での資金不足が相互に絡み合い、ぶつかりあっている。特に米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和政策(QE)から撤退するという予測が出てくると、資金が中国から引き揚げられるのではないかとの不安が広がり、中国経済を懸念する人の心配材料が増えた。

趙副院長の指摘によると、現在、中国の広義マネーサプライ(M2)は100兆元の大台を突破しており、手持ちの資源をいかにうまく利用するかが目下の急務だ。資金の利用効率の向上で生み出される価値は、資金流出の影響を下回ることは絶対にないという。

李主任も、中国人民銀行(中央銀行)がスタートした一連の計画がこの問題を解決することになると強調する。李主任は次のような提案もうち出した。今後の改革では不良債権を消化し、資金の正常な流れを保障すること。地方の財政再編に着手し、確実で持続可能な新たな税収源をみつけること。民間経済を大規模に緩和し、準公共製品の分野への投資を可能にすること、などだ。

下半期の経済情勢について、趙副院長は、「市場の主体の発展の中に答がある」とした上で、政府は企業に稼げる機会を提供し、短期的な視野の発展モデルを放棄するよう促し、「利益で誘導し、理性で理解させる」中で中国経済のモデル転換の長期的な利益と財政や雇用などの短期的な目標とのバランスをはかる必要があると強調した。

 

「人民網日本語版」2013年7月8日

 

 

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850