10月下旬、「第11回北京―東京フォーラム」が北京で開かれる。中日関係の健全な発展を推し進めるために双方が両国民の知恵を結集するこのフォーラムは、10年の努力を経て新しい発展の段階へ進もうとしている。

今回からは中国外文出版発行事業局が中国側主催者を担当する。今後10年間、フォーラムはテーマ設定や世論調査、会議の成果などについて、より実務的で建設的な高次の段階へ移る。

中日関係に改善の兆しが表れながらも依然として矛盾が存在するという背景の下、今回のフォーラムは開かれる。二国間関係に新しく現れた問題とチャンスに両国はどう向き合うべきなのか？　　

開催を前に、周明偉・同局局長をはじめとする両国の有識者に中日間の問題について意見を聞いた。同時に、日本側主催者・言論ＮＰＯの工藤泰志代表にもフォーラム運営の今までの苦労や今後の展望について語ってもらった。

安定かつ健全な中日関係を目指して

中日友好21世紀委員会中国側委員、中国外文出版発行事業局局長　周明偉

「北京―東京フォーラム」は２００５年に中日双方が共同で始め、10年間の協力を経て今では両国間で最も長く続き、最も成果が突出し、最も広範な分野に関わり、双方のエリートの合意レベルが最も高い民間討論の場になった。過去10年間、このフォーラムは中日民間交流の初志を貫徹できた。中日双方の有識者の意思疎通とコンセンサス形成を通じて両国政府に政策に資する意見を提供し、メディアの論調を導き、両国国民の相互理解を推し進め、非常に重要な役割を果たした。

将来の10年間、「北京―東京フォーラム」は初志を貫きつつ、中日関係に現れた新しい問題に焦点を合わせ、両国のエリートの知恵を結集し、建設的な意見を提供し、長期的で安定的、健全な両国関係の発展に新たな貢献を果たしていく。

達成すべき四つの目標

今、中日関係の発展はすでに周辺国家や全アジアに影響を及ぼし、国際政治や経済、外交分野にまでさまざまな影響を与えている。中日関係発展の特色の一つは、一貫して民間交流が二国間関係の発展の主流にあり、両国関係の発展プロセスで重要な役を演じていることだ。「北京―東京フォーラム」は中日民間交流の特別な役割を体現しており、中日両国が政治や外交、経済貿易、文化交流をめぐって双方の民間の声を集める重要なプラットホームになっている。民間の声を広く集め、集中的に伝えるのがフォーラムの最初の目標だ。

二つ目の目標は両国の民間の理解を深めることを通じて国民感情を改善し、両国の政治的な相互信頼を高め、両国関係の長期的で健全な発展を推し進めることだ。国交正常化以降、両国民の友情と信頼は明らかに強まり、中日関係の健全な発展を支える役割を絶え間なく果たしてきた。しかし過去の10年間、幾つかの極端な事件の影響から生まれた不協和音が両国間に現れた。こうした不協和音は両国の政治的な相互信頼に直接影響し、一定の程度において両国民の関係を損ねた。「北京―東京フォーラム」の討議する主なテーマの一つは、両国がどう効果的に意見交換するかという基礎を踏まえ、両国の政治的な相互信頼を推し進め、民間の感情を改善することだ。

急速に発展する中国が全世界にもたらす変化をどう正確に認識し、経済的な依存度をますます強める日本との関係をどう処理するか。これらの分野に今、数多くの新しい問題が現れている。従って、フォーラムの三つ目の目標は両国の外交政策に有意義なアドバイスを提出することだ。

さらに私たちはフォーラムを通じて両国メディアの論調をリードし、両国関係の安定的な発展に積極的な役割を果たすよう彼らを促すことを望んでいる。中日関係が困難と問題に直面している過程ではメディアは逃れられない責任を背負う。二国間関係にトラブルが生じた際、もし双方のメディアがプラスの役割を果たせば困難な情勢を変える助けになる。プラスの役割を果たすようメディアをどう導いていくか。これがフォーラムでまとめるべき四つ目の目標だ。

戦勝70年の意義も反映

今年はちょうど中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争の勝利70周年であり、「北京―東京フォーラム」にとって特別な年に当たる。中国がこの歴史的なタイミングで盛大な記念活動を開催したのは勝利を祝うためだけではなく、未来に啓示を与え、人類社会で平和的発展のコンセンサスを形成するためだ。習近平国家主席は記念式典で重要演説を発表し、平和的発展と共同発展に対する中国人民の理念と決意を世界にはっきりと示した。この歴史的な記念活動はフォーラムに非常に多くの新しい議題を与え、いかに未来を切り開くかという問題は今回注目すべき内容の一つになるだろう。

昨年から中日両国の首脳は何回か面会して話し合い、両国関係の発展に新たな活力をもたらした。両国の官と民も関係改善に多くの新しい努力を重ねた。特に触れる価値があるのは、今年５月に自民党の二階俊博総務会長が経済界などの３０００人を引き連れて訪中したことだ。習主席は人民大会堂で彼らと会見し、重要演説を発表した。これは中日関係改善への非常に重要な努力だ。このような努力はほかにも多くあり、今回のフォーラムでの注目点になっている。フォーラムではこうした貢献を評価するとともに、いっそうの新しい提案が出され、中日関係のさらなる発展にプラスの要素をもたらすと私は信じている。

中日両国はアジアで１、２位の経済国として、アジア経済の発展に直接影響を与えるだけでなく、世界経済にも重要な影響を及ぼす。このため、中日両国は地域経済の発展と世界経済の安定に対する共同の責任を負わなければならない。まさにこうした緊密な関わりがあるからこそ中日両国は一つの運命共同体なのであり、両国経済の発展は互いに重要な影響をもたらし、中日の経済協力の程度は地域と世界の経済発展に影響をもたらすのだ。この意味において、フォーラムはまた「一つの地域経済において果たすべき役割を中日両国にどう発揮させるのか」という新しいテーマを引き受けることになる。

またこの数年のうちに中日両国間に現れた新しい矛盾は、不一致と危機のコントロール分野に新たな課題を突きつけている。これもフォーラムのホットな話題の一つになる。目下、中日双方の非常に多くの有識者が建設的な意見を提出し、中日双方がどのように平和的に付き合い発展していくかを新しいテーマにするよう望んでいる。これらの積極的で実務的、先見性のあるアドバイスは全て今回のフォーラムに新しい注目点と原動力を注入している。

大局見据え開催成功を

「北京―東京フォーラム」は今回「新しい10年」を迎え、初めて中国外文出版発行事業局が主催する。このことは私たちに多くの課題を与えている。しかし中国外文出版発行事業局は過去60年以上、書籍や定期刊行物、インターネットによる日本との文化交流を通じ、日本を熟知し、理解し、研究する人々を育てただけでなく、日本で相当な規模の情報の受け手と人脈を開拓した。これは私たちが「北京―東京フォーラム」を引き受けられる重要な優位性だ。同時に、対日文化交流の強化と中日メディア交流の促進それ自体も中国外文出版発行事業局の情報発信の重要な内容だ。従って私たちは「北京―東京フォーラム」の開催成功を中国外文出版発行事業局の事業発展の新しい方向の一つとし、それを私たちの対日交流推進の新しいプラットホームとする。私たちはそれによって中日交流に新しいチャンスと活力をもたらすことを望んでいる。このほか、フォーラムが過去10年間で積み上げてきた豊富な経験も私たちに貴重な財産を残している。このため両国関係の大局と中日関係発展の重要な基礎をよりどころとして今回のフォーラムを成功させられると私たちは確信している。中日双方のパネリストがフォーラムで両国関係の発展に資する共通の話題を示し、影響力を持つ見解とアドバイスでより貢献し、いっそう広範なコンセンサスを形成すると私たちは信じている。

「北京―東京フォーラム」が一方の努力だけで成功できるものではないことはよく分かっている。このため日本側主催者・言論ＮＰＯとの協力を私たちは非常に重視している。言論ＮＰＯは過去10年間、このフォーラムを通じて中日双方の観点に基づく交流とコンセンサス形成に一貫して力を尽くしてきた。このたゆまぬ努力は私たちに強い印象を残している。言論ＮＰＯは私たちが強く望むパートナーだ。またこの先10年間のフォーラム開催過程で理解とコンセンサスを形成し、自国の願望を伝えつつ相手に配慮もできる心温かなパートナーだ。私たちは言論ＮＰＯとの協力の下で過去10年を継承しつつ革新を起こし、このフォーラムにいっそうの影響力を持たせ、より大きな役割を発揮させることを望んでいる。