現在位置: ニュース>トピックス
中日関係はまだ脆弱 さらなる歩み寄りが必要

文=劉華

孔鉉佑・中国外交部部長補佐は2月29日、日本の杉山晋輔外務審議官と東京で会談した。これは朝鮮半島情勢が最近エスカレートして以降、中日両国の外交部門で最高レベルの会談だ。日本メディアの報道によると、双方は両国外相の相互訪問についても話し合い、交流のグレードアップの余地がまだあることを示した。

近頃、自然界での冬の終わりと春の到来に伴い、中日関係はかすかに温かさを取り戻している。双方の各部門が次第に事務レベルの接触を始め、双方の「議員会議」が再開し、執政党交流メカニズムが昨年12月に回復したことなどが挙げられる。こうした点から見ると、中日関係は現在、2012年以降の低迷・足踏みを徐々に抜け出しつつある。しかし別の角度から見ると、中日関係には「暖かくなったばかりで寒さが残っている」一面もある。若干の敏感な問題をめぐっては依然として食い違いがはっきりしていて、互いに不信を抱いている。安全保障分野では、日本側は東海で中国側と対峙しているだけでなく、南海問題にも深く介入しようとしている。これにより二国間関係には再び重大な騒動が起こる危険が潜んでいる。

上述した状況から中日関係は今年、一時的に危険な時期を抜け出したものの、依然として脆弱(ぜいじゃく)な回復段階にあることが分かる。中日関係の回復と発展を真に実現するには、まだ双方が並々ならぬ努力を経て、深層にある問題を真に解決しなければならない。

「戦略的相互疑念」から脱却を

2012年の釣魚島「国有化」事件は中日関係に巨大なトラウマを残した。それは中日関係の実態面を明らかに損ねただけでなく、双方の基本的な信頼を深刻に目減りさせた。

目下、中国国内か日本国内かを問わず、相手側は自分たちの脅威であり、脅威の程度はまだ上昇し続ける可能性があるとかなり多くの人々が考えている。二国間交流の中で双方がこうした問題を持ち出すこともあるだろう。例えば日本側には「中国は国際秩序の擁護者なのか、それとも挑戦者なのか」「中国外交の本当の目標は何か」と尋ねる人がいるだろう。中国側には「日本は戦後の国際秩序を変えるつもりではないか」「日本外交の本当の目標は中国の発展を抑え込むことではないか」と質問する人もいるだろう。

こうした「相互疑念」はまだ双方の主流の認識にはなっていないが、間違いなく二国間関係に大きく影響しているということに注目しなければならない。こうした局面を変えるには、少なくとも次の2点を実行する必要がある。

まず政治面で意思疎通を強化して互いに疑念を解き、特に敏感な問題で意見交換し、「戦略的相互疑念」の回避をさらに強めることだ。隣国同士で観点に食い違いがあり、利益に衝突があるようなことは、国際関係では正常の状態であって、忌み嫌う必要はない。問題を並べ誠意をもって意見交換することは、相手側の考えを理解し、相手側の全ての振る舞いを敵対的なロジックの枠組みに入れるのを避ける上で役立つだろう。

意思疎通では全ての問題を解決できないが、相当な部分の問題を解決できると思う。例えば、日本のいわゆる対中強硬派は、現実的な利益や根深いコンプレックスに基づくグループと、無理解によってもたらされた懸念や心配を持つグループにおおよそ分けられるようだ。前者については、「疑念を解く」ことでは問題を解決できない。しかし後者については、意思疎通と交流で認識を変えることができる。もちろん、こうした「意思疎通」と「交流」は決して「その場限り」の面会ではなく、誠実で深く分け入った討議だ。

同時に、危機管理メカニズムの構築を強化する必要もある。中日間の対峙には思いがけない摩擦が起きる可能性があり、これはいったん起きると必然的に深刻な結果をもたらすだろう。両国は外交や軍事、安全保障などの分野のメカニズムを構築し、予想外の事件が関係に影響するという見えない危険を取り除き、二国間関係に再び大きな変動が現れるのを避ける必要がある。日本側としては南海問題で横やりが入るのを避けるべきだ。伝統的な地政学上の攻防の考え方で中日関係を処理すれば、日本側は自縄自縛になり、抜け出し難い「小さな冷戦」の泥沼にはまるだけだ。

広大な歩み寄りの余地

実際、世界経済が低迷している今日、もし中日両国が互いに歩み寄れるなら、必ずいっそう美しい未来を共に築き上げられるだろう。双方が既に持っている経済貿易協力の基礎はひとまずおいて、観光についてだけ語れば、昨年は中国大陸で500万人近くが訪日し、「爆買い」は日本の流行語になった。この現象は、中日間の経済と人々の交流には広大な空間があることを示している。また経済貿易面の交流は中日関係の基礎を保つ役割を果たせる。

単なる経済効果よりもさらに重要なのは、日本旅行によって非常に多くの中国人が初めて身をもって日本社会を体験していることだ。過去1世紀の中日交流の歴史において、これほど大規模な人々の移動はなかった。これは民衆レベルでいっそう全面的で客観的な日本観を形成するのに役立つだろう。そして、国民レベルの理性的な感想は必ず政策の形成にも積極的な役割を果たすだろう。

歩み寄りについては、中日両国のメディアも各自の職責を受け持つ必要がある。日本では、一部メディアの扇動的な報道スタイルと中国への色眼鏡がかなりの程度、日本の人々の中国観に影響を与えている。もちろん、中国でも一部メディアが市場の利益や「人目を引きつける」といった動機により、刺激的で衝突をあおる報道に偏り、中日関係に対する一部の受け手の非理性的な認識をもたらしていることは否定できない。もしこうした局面を変えられないなら、人々の相互信頼の迅速な回復は望めないだろう。

中日関係についていえば、政治面の意思疎通や事務レベルの危機管理、経済貿易分野の協力、人と社会文化の交流は全ていま推進できる作業だ。このほか中国についていえば、中日関係を促進するには国内の発展をうまく進めなければならない。中国に向けられている日本の懸念の背後には、一方では中国の発展後の方向に対する不信感があり、もう一方では中国の発展が「長期的、安定的、持続的」であり得るかどうかという不信感がある。もし中国が長期的かつ安定した発展を保つことができ、経済社会が前進する中で遭遇するさまざまな問題をさらに解決できるなら、日本側の「疑念派」をいっそう冷静で理性的に中日関係に対応するよう仕向けられる。反対に、もし中国の発展が困難にぶつかれば、日本国内には再び中国に対する不健全な雑音が現れるだろう。

中日両国は引っ越しようのない隣人で、互いの重要な経済貿易のパートナーだ。人々の堅実な交流の基礎があり、いわゆる「協力すれば双方に利益があり、争えば双方が傷を負う」という関係だ。もし中日間の矛盾が激化し、対立が激しくなれば、最終的に利益を得るのはおそらく地域外の大国になるだろう。中国語にも日本語にも「漁夫の利」の故事がある。新春の到来に際し、両国は十分な知恵を持って、二国間のムードにいまも残る寒けを追い払い、両国の交流を正しい軌道に乗せ、中日関係の真の回復と発展を実現するべきではないだろうか。

 

人民中国インターネット版

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850