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方向転換する日系企業 「敗退」乗り越え対中投資拡大

 

日系企業の中国市場における投資はなかなか難しい状況にあり、過去2年間には日系企業が中国から大規模に撤退するとのニュースがしばしば伝えられた。だが今や中国の広大で勢いのある市場と膨大な数の消費者を前にして、対中投資を再び拡大させたいと願う企業が出てきている。日本経済新聞の電子版は17日、中国人消費者の購買力が高まり、質の高い商品へのニーズが旺盛になり、こうした好材料の影響を受けて、日系企業は中国で生産能力を拡大させたいと考えるようになったと伝えた。「環球時報」が伝えた。

▽日系企業の4割が投資拡大を予定

日経紙によると、日本貿易振興機構(ジェトロ)が16年末に行った、アジア・オセアニア進出日系企業実態調査によると、中国に進出した日系企業で「今後1~2間に中国事業を拡大する」と答えた企業は40%を占め、15年の調査時より2ポイント上昇し、3年ぶりの上昇となった。

食品産業の姿勢が最もはっきりしており、投資拡大計画のあるところは54%に達した。中国のインスタントラーメン市場は日本の7倍あり、日清食品は3億5千万元(1元は約16.1円)を投じて浙江省に新工場を建設し、5月下旬に製造をスタートする予定だ。ハウス食品も同省に3つ目のカレールー工場を建設する計画で、中国での生産能力を2倍に引き上げるとしている。

生活家電や自動車も日系企業が投資を拡大する重点分野だ。リンナイは上海市に5億元を投入して新工場を建設する予定で、トヨタ自動車が湖北省武漢市に建設する新工場は工事が始まり、パナソニックの遼寧省の新電池工場もすでに稼働している。報道によると、中国国民の収入が増加するにつれて、市場も拡大を続け、質の高い製品の供給が需要に追いつかない状態だという。

▽以前の撤退は実は「敗退」

過去2年間に、シチズン、ダイキン、シャープを代表とする日系企業が中国などの海外市場から撤退する調整を行い、日経紙はこうした状況を、「中国の人件費と日本との差が縮まり、インターネット時代に現物ニーズが増加し、日本の製造業が先端化したことから、日本の家電メーカー、精密機械メーカー、自動車メーカーは生産能力を国内に回帰させた。中日関係の緊張も日経企業の撤退の重要な原因の1つだ」と説明した。

日本の最低時給は約54元、中国製造業の平均時給は24.7元。日本は内需が低迷し、国内ニーズが目立って増加することはない。中国の先端製造業の発展ペースは速く、アップルに部品などを提供するグローバルサプライヤー590社のうち、中国大陸部は349社で、日本の139社を大きく上回る。そこで日系企業の一部が中国から撤退したのは、競争力不足による事実上の「敗退」だったといえる。

日本の帝国データバンクによると、日本の製造業の撤退は中国だけでみられる現象ではない。これまでにパナソニック、キャノン、シャープ、三井などの製造業企業が発達した北米市場からの「敗退」を始めている。

▽中国市場は軽視できない

帝国データバンクの調査によれば、現在、中国進出した日系企業は1万3934社に上り、このうち年間売上高が10億~100億円の大企業は6058社に上る。製造業は5853社、サービス・小売卸売業は1万2191社。成長を維持したい日系企業にとって、13億の人口を擁する中国企業は決して軽視できない存在だ。

日経紙の報道によると、今でも日系企業の7%が中国事業の縮小または中国市場からの撤退を計画するが、割合は15年の11%に比べれば大幅に減少した。中国不動産市場、中日の政治的関係などは引き続き日経企業の懸念要因だが、一部の企業はこれまでに懸念に対処するための十分な経験を積んできたという。

日本メディアは、2000年以降、日系企業が大挙して中国市場に進出し、10数年間に及ぶ優勝劣敗の試練を経て、勝ち残った日系企業はリスク対応力が著しく増強され、新たな投資を行う段階へと進んだ、との見方を伝えた。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2017年5月19日

 

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