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日本経済青書 中国市場を好感 煙霧対策が突破口

 

中国社会科学院日本研究所と社会科学文献出版社は9日に北京で、「日本経済青書:日本経済と中日経済貿易関係研究報告(2017年)」の発表会を共同開催した。

青書によると、全体としていえることは、外部環境の好転は、中日経済貿易協力関係の改善にプラスになるということだ。特に中期的にみた場合、中日経済貿易協力に影響するさまざまな要因の変化は「明暗こもごも」で、米トランプ大統領の就任が世界経済にマイナス影響や不確定性をもたらす可能性があるが、プラス影響ももたらされ、こちらがマイナス影響よりも大きい可能性もあり、米国経済の力強い回復ぶりが世界経済の復興を牽引するとも考えられる。中国経済の供給側構造改革が引き続き深まり、中国共産党の第19回全国代表大会が国民経済の発展に好材料をもたらし、6.5%前後の高速成長の維持に懸念はないとみられる。日本経済も1%前後の安定成長を維持する見込みだ。中日両国は対米貿易でいずれも対米貿易黒字の問題を抱え、表面的なデータだけでみれば、中国の対米貿易黒字は日本よりも大きいが、実際には、中国から米国に輸出される製品の多くには日本製の先端部品や日本の技術が大量に含有されており、これは日本が巨額の対米黒字を中国に転化させたことにほかならない。もしも米国が中国に46%の関税を課したなら、中国の輸出に打撃になるだけでなく、同時に日本の対中輸出にも累を及ぼすことになる。そこで米国の保護貿易主義問題への対応で、中日両国には共通の利益があるといえる。

また2016年には中国市場に対する日本企業の見方が好転し始めた。日本の国際協力銀行は毎年、海外投資を行う日本企業の海外での経営状況に関するアンケート調査を行っている。16年の調査結果をみると、「御社の中期的(今後3年前後)発展において、発展の潜在力がある国(地域)はどこか」との質問への回答で、中国はインドに次ぐ2位となり、前年の順位を維持しただけでなく、割合が38.8%から42%に上昇した。また日本企業はインドを評価するが、その多くは期待の段階にとどまる。その一方で中国市場に対する好感は中国に現実に存在する良好な社会インフラ、物流環境、ますます増大する中産階級の消費人口を評価した上での地に足の着いたものだ。

ここ数年、中日関係の悪化は二国間経済貿易関係に明らかにマイナス影響を与え、中日関係の緩やかな改善が二国間経済貿易関係に一連のプラス方向の影響を与えたことも確かだ。現在、国際関係は錯綜し複雑で、中日二国間関係の以前からの問題が適切に解決されておらず、新たな問題も次々に現れる。非常に複雑な状況の中、「どちらも負けている状態」を脱するにはどうしたらよいかは真剣に検討すべき問題だ。思うに、目下の急務は中日経済貿易協力の低迷状況を転換させることだ。現在、企業界は動き始めており、ここ数年は日中経済協会が毎年多くの日本の企業家チームを集めて中国を訪問し、中国政府もこの訪問を非常に重視し、このことが日本企業の中国市場に対する信頼をある程度回復させている。今後の中日双方の経済協力をめぐる潜在力と可能性は大きく、中日共同での煙霧対策はなかなかよい突破口の一つであることは間違いない。日本は経済の高度成長期に深刻な大気汚染問題を引き起こしており、当時は首都圏とその他の大都市で「光化学スモッグ」が発生し、その汚染レベルは中国の現在の煙霧に引けをとらないものだった。だが日本はコツコツと努力し、10年前後の時間をかけてこの問題を徹底的に解決し、その経験と教訓は中国にも参考になるものだ。李克強総理は政府活動報告の中で、2017年に「青空を守り勝ち取るための戦い」の5つの措置を打ち出すと明確に指摘した。「第1に石炭燃焼による汚染問題を解決しなければならない。第2に汚染源対策を全面的に推進しなければならない。第3に自動車の排ガス対策を強化しなければならない。第4に重度汚染の天候に効果的に対処しなければならない。第5に環境をめぐる法執行(エンフォースメント)と監督・検査・責任追及を厳格にしなければならない」という。ここからわかることは、すべての措置において、中日双方には非常に大きな協力の可能性があるということだ。大気汚染対策と環境汚染対策で、日本には豊富な経験と技術の優位性があり、中日双方はこの分野での協力で高い相互補完性をもち、政治的にもそれほど敏感ではないため、ウィンウィンの効果を容易に上げることができる。

まとめると、ここ数年は、中日二国間の経済貿易協力は低迷状態にあったが、両国がお互いに重要な経済貿易協力パートナーであるという局面に根本的な変化はない。中日経済貿易協力は中日関係を安定させるバラスト石であり、「経済によって政治を後押しする」ことが第二次世界大戦後の中日関係に横たわる困難を解決するための伝家の宝刀だといえる。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2017年6月12日

 

 

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