孫 雅甜=文・写真
2011年5月26日午後、日本のキャリアデザインスクール「我究館」(がきゅうかん)の杉村太郎会長が、北京の清華大学で人生・キャリアデザインや就職活動の取り組み方について講演し、中国の大学生や大学院生たちと討論、交流を行った。
日本では就職活動をする学生や社会人に広く知られる「我究館」。自己分析・キャリアデザインを中心に据えたコーチングを行うことで、志望企業への入社や独立をサポートしている。講演のなかで、杉村会長は「自分を知る、社会を知る、自分を高める、自分を伝える」という我究館が目指す人間像について述べ、「夢と志」を明確にし、人生とキャリアをデザインする方法を紹介した。
 |
熱心に講演する杉村会長 |
「夢や志とは、やりたいことを通じて実現させたい思いのことです。そういう思い、つまりどんな人間性がいいのか(Being)、どんなものがほしいのか(Having)、そして社会にどんな影響力を与えたいのか(Giving)の3つをはっきりとさせれば(人生とキャリアの目標が見つかる)」と杉村氏は説く。
それを聞いて、最初は首をかしげる学生も多かったが、しばらくすると、「仲間に信頼される人になりたい」、「より多くの人にいい影響を与えられる人になりたい」、「技術を使って日本のアニメやテレビドラマを中国に導入する仕事がしたい」、「いい結婚相手がほしい」、「幸せな人になりたい」など、自分の夢を語る声が次々に上がった。
当日講演会場に詰めかけたのは、清華大学、北京外国語大学、北京師範大学、国際関係学院など北京の大学で日本語を勉強している22名の学生たちだ。講演後、学生から外国人が日本企業に就職する時の注意事項や、日本人の過労死、職場での「パワハラ」現象などについての質問が次から次へと飛び出し、現場では活発なディスカッションが行われた。
 |
 |
ユーモアを交えての講演に、学生たちの笑顔が絶えなかった |
講演後の質問タイムでは、学生たちがディスカッションを繰り広げた |
北京旅遊学院の戦雅彬さん(08級)は、「先生の話を聞いて、面接の時にどういう心理状態で応対すべきか、だんだん分かってきました。面接官がどう見るかの説明も、とても役に立ちました」と感想を語った。また、北京郵電大学の雷蕊菡さん(08級)は、「『Being、Having、Giving』のところが一番印象的でした。いままでどういう人間になりたいとか、社会にどんな影響を与えたいとか、あまり考えたことがなく、人生やキャリア上の目標は漠然としていました。さっそく今日から考え始めました」とうれしそうに話した。
論語が好きだという杉村氏と中国の縁は深く、中国の学生との直接交流の始まりは15年前にまでさかのぼることができる。それは、北京のとある大学の寮で漢字を使っての筆談だった。のちのハーバード大学留学時代にも、彼を最もよく助けてくれたのは中国人の親友だったという。中国の若者についてのイメージを聞くと、「勤勉で素直で、きれいな心を持っています」と微笑む杉村氏は、さらに「これから中国が世界で果たす使命や役割はどんどん大きくなるでしょう。将来、我究館が中国で事業を展開する可能性は大いにあります」と締めくくった。
プロフィール |
杉村太郎:1963年生まれ、1987年慶應大学理工学部卒業後、住友商事に入社。その後「シャインズ」として音楽活動をしたこともある。TOEICなどのコーチングスクール「プレゼンス」を設立し、2003年にはハーバード大学大学院で学んだ。1992年に「我究館」を創設。その卒業生はすでに6000人を超え、総合商社、外資コンサル、広告、メディア業界から、官僚、弁護士、医者、作家、アーティストなど幅広い分野で活躍している。著書『絶対内定』は、就職活動に初めて自己分析やワークシートを導入したとされるロングセラーで、94年の初版より130万部を売り上げており、大学生協で最も売れている就職本だ。 | |
 |
人民中国インターネット版 2011年5月27日
|