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下部直腸がん手術技法国際研究会で、伊藤雅昭医師が技術指導

 

馬島由佳子=文・写真

伊藤医師の講演

6月4日(土)、北京市にある衛生部中日友好医院にて、国立がん研究センター東病院の外科医、伊藤雅昭医師が執刀する下部直腸がん腹腔鏡手術が行われ、下部直腸がん手術技法についての研究会が開かれた。

会場に映し出された手術映像

直腸がんは胃腸によく見られる悪性腫瘍の一つで、胃と食道がんについで発病率が高い。なかでも、肛門から3~5cm以内にできる悪性腫瘍は骨盤内にあり、周囲に多くの重要な臓器があって外科手術が難しいといわれている。

腹腔鏡(内視鏡の一種)による下部直腸がんの手術は、現在、国際的に公認された最良の治療方法。開腹せずに、腹腔鏡を用いて腫瘍部分だけを切除するのと同時に、永久的人工肛門をつけずに肛門を温存することができる。また、この方法であれば、がんの再発率も低く抑えることができる。しかし、中国では、この腹腔鏡を使って手術ができる外科医は少なく、普及に至っていない。

手術映像に注目する出席者

伊藤医師が執刀する手術は、病院内の会場に、テレビモニターを通して実況中継された。中国各地の病院から参加した外科医らは、6時間におよぶ手術に終始注目していた。会場で中継を見ていた北京大学医学部の日本人留学生、藤本晨一さんは、「最先端の手術という印象を受けました。中国の外科医たちは、腹腔鏡による直腸がん手術の存在は知っていても、これまで実際に目にすることはなかったと思います」と話した。

手術後、伊藤医師は、下部直腸がん腹腔鏡手術技法の講演を行った。講演途中には、昨年12月に伊藤医師から直腸がん手術を受けた、河北省に住む大学生が駆けつけ、「現在の体調は良いです、伊藤医師に御礼を伝えたくて来ました。いつか日本にも行きたいと思うし、何よりも今は外科医という仕事に大変興味を持っています」と笑顔で話した。講演中は、出席した医師たちによる活発な質疑が繰り広げられ、午後8時半まで続いた。講演終了後、伊藤医師は「長い時間、中国の医師たちが熱心に私の手術技法を聞いてくれてうれしく思いました。中国で下部直腸がん腹腔鏡手術が普及することを願っています」と語った。

左から中日友好医院姚医師、昨年12月に手術を受けた大学生、伊藤医師

北京大学医学部日本人留学生も多く集まった

 

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人民中国インターネット版 2011年6月8日

 

 

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