ソフト面で学ぶこと
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謝念 貴州省人民政府新聞弁公室副主任 | 2001年に初めて訪日したとき、日本社会の高度な文明や社会管理の高い効率、秩序のよさが印象に残りました。10年ぶりに再び日本を訪れて感じたのは、中国が日本を追い越し世界第2の経済大国になり、この10年でインフラ建設などのハード面で飛躍的な発展を遂げたものの、社会文明や社会管理などのソフト面では、まだまだ日本に学ぶことが多いことでした。
東日本大震災発生後、日本政府の救援活動への対応を一部疑問視する声もあるが、日本の一般市民が示した理性、ルール順守、助け合いの精神は国際社会に強い印象を与えました。とくに日本メディアの震災関連報道は凄惨な画面で扇情的に視聴率をあげるのではなく、社会的責任と人間性のある配慮で報道をしています。中国の一部のメディアも類似報道の際は反省し手本とすべきです。震災から数カ月、訪日団が訪ねた
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静岡市観光課の関係者が空が暗くなるまでホテルで待って代表団を出迎え、静岡の観光と文化を紹介した | 先々の日本の社会は、どこもいつも通りに平穏で、中国国内の一部の人が憶測したような混乱はないようです。私たちが出会った役人や一般市民はみんな復興への強い自信をもっています。また、公共の場にはほとんど募金箱が備えられ、被災地への思いを伝えています。横浜市などの地方政府が提供してくれた資料の中には、コミュニティーや学校では普段から地震対策の知識教育を行う教材があり、わかりやすい説明で受け入れやすい。森ビルなどの都市建設プロジェクトはすぐれた耐震力を持ち、抜群の品質を誇っています。このすべてが日本の進んだ社会管理、危機管理の能力と密接に関連しています。
今回のもう1つ肌で感じ取ったのは、日本各レベルの政府が中国に向けたピーアール意識が強く、しかも特に実効を上げるために力を注いでいることでした。中国人観光客を引きつけるため、神奈川県、静岡県、横浜市、静岡市などの地方政府はきれいな中国語のPR印刷物を制作し、写真と文章が豊富で、持ちやすく実用的です。静岡市政府の役人一行10人はわざわざ私たちの宿泊地を訪れ、相当待ったようだが、このチャンスを利用して現地の観光資源をピーアールしました。これに引き換え、中国各地は日本向けの宣伝計画やPR刊行物が少なく、その品質もまだ改善する余地があるようです。
共通の竹文化に感動
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呉静波 雲南省党委員会宣伝部副巡視員 | 日本は竹文化の伝統をもっている国です。賑やかな繁華街でも閑静な裏町でも青々とした竹が目に飛び込んできます。まさに「住まいに竹あり」という趣を体現している。豪華なホテルの日本料理屋でも、普通の大衆食堂やすし屋にいても、竹製の食器の精緻さに驚き、「1日たりとも竹なしではいられない」といった雰囲気が感じられます。日本では、竹が物質的なものとして人々の生活と切っても切れない関係にあるだけではなく、精神的にも特殊な役割を果たしているようです。竹は旺盛な生命力の代名詞として、粘り強く、根気よく頑張る日本民族の特徴を表わし、日本の竹文化の核となっています。
中国は竹文化の発祥地の1つで、中国人は世界で最も早く竹資源を利用していました。竹は衣食住や音楽、軍事、医薬などのあらゆる分野において利用価値があり、その人文的な性質の意味はどんな植物も足元にも及ばない。力強くそそり立ち、素直で節があり、上品で優雅な姿と、まっすぐに上に伸び、四季青々としている特徴から凝縮された竹の精神は、まさに中華民族の魂の粋といえます。
中国文化が日本に伝えられてから、日本は中国の竹文化を吸収してこれをうまく伝承し発展させ、日本固有の竹文化と結びつけて独特な竹文化を形成しています。近代化が高度に発展した今でも、日本では今なお竹を幅広く利用しています。
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随所に見られる日本の竹文化(写真・呉静波) |
文化交流の歴史は中日両国の社会の進歩や発展を促進してきました。だが、中日関係は両国関係の多重性と複雑性をもあらわにしました。一衣帯水、共通文化をもつ隣国関係でありながら、2000年の文化交流と50年の戦争、戦後60数年をかけて氷を溶かしてきた、いわゆる曲折の歴史関係でもある。「2000年の友好関係と50年の対立関係」という中日関係の歴史は、「仲睦まじければ双方に有益で、闘えば双方が傷つく」ことを裏付けています。
今回の視察は本当に感慨無量でした。どこへ行っても日本各界の情熱と誠意のこもった接待、大震災に直面したときの日本人の冷静で落ち着いた態度、どこでも見られた震災後の節約措置、マスコミ関係者の狭い事務室、清潔で秩序ある街並み、古い文明となじみある漢字、雲と霧に閉ざされた富士山、きれいな和服姿の女の子、どこにでもある「中国製」のもの……わたしはやはり青々とした竹に託して感想を表わしたいです。中日両国の竹文化においては、竹は吉祥、平和の意味。「竹は無事を報じる」、緑色は平和を象徴する。中日両国人民の友情が竹のようにいつまでも平和と常緑を保つことを願っています。
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