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映画『明日に架ける愛』主演・鹿凌桀さんに聞く

―日本の映画製作現場から学んだ多くのこと―

文=光部愛 写真提供=(株)アンダーゼットグループ

インタービューを受けるアレックス・ルーさん(写真=単涛)

3月31日に新宿バルト9などで公開される中日友好40周年記念映画『明日に架ける愛』で市井紗耶香さんと共に主演を務めるアレックス・ルー(本名:鹿凌桀)さんは北京出身の26歳、初の日本映画で主演。倉木麻衣さんと歌う主題歌で歌手デビューや武道館の初登場も果たした。中国にいればチャンスが多いにも関わらず、なぜ日本で活動の道を選んだのか。注目の中国人若手俳優に話を聞いた。

――来日するきっかけは?

2009年に日本の芸能事務所と契約を結び来日しました。北京電影学院(名門の映画大学)を卒業し半年が経った頃です。

僕はもともと日本のドラマが大好きでした。作り方、監督、カメラワークなどがすべて中国と違うので「いつか出演できれば」と憧れていました。

日本語も全くできないのでもちろん家族は心配しましたが、来てみるとみなさんとても親切で、周りの人達は言葉がわからなければ、わかるように伝えようとしてくれました。

――初めての出演チャンスは?

 しかし、ただでさえチャンスの少ない日本は、外国人の僕にとって特に厳しかったです。中国では今、365日どこかで映画の撮影がスタートしているような状況。中国で先にチャンスをつかんでゆく友人からは「戻って来いよ」と言われました。帰国を考えたこともありましたが、今帰ったら来日が無駄になってしまうと思っていました。

そんな時、東映『仮面ライダー』の舞台劇の出演が決まり、必死にセリフを覚え日本語の発音を練習しました。

青森県鰺ヶ沢の花畑のロケで、香月監督から演技指導を受ける市井紗耶香さん(中央)とアレックス・ルーさん(右端)

――『明日に架ける愛』に出演するきっかけは?

言葉がうまくなるにつれて、更なるチャンスがめぐってきました。今回の映画のオーディションに合格したのです。

中日友好40周年の記念作品ですから、出演ができるだけでも嬉しいのに主役だなんてとても光栄に思いました。同時に初めての映画でこの役をうまく演じることができるのか、何より台詞の半分以上が日本語で当初は不安でした。

――日本人俳優と接してみていかがでしたか?

現場は、僕が外国人であるなしに関わらず、従来通りのやり方で動いています。市井紗耶香さんはもちろんみなさんに言葉の面で終始支えてもらいました。

最も印象深いのは高嶋政宏さん。大俳優であるにも関わらず、僕に積極的に声をかけて下さいました。高嶋さんもセリフの半分は中国語です。ご自身でもある程度勉強した上に「絶対に標準語で話したいから、教えて」と。

アレックス・ルーさんと高嶋 政宏さん(右)

二人で何度も何度も練習しました。外国人がきれいな標準語を話すのは本当に簡単なことではありません。それでも、高嶋さんは完璧にやろうとしました。日本語で言う「魂」を感じました。今でも良く一緒に食事をしていただいています。

撮影時はひたすら完成に向けて走っていましたが、終わってからふと、あのシーンでこういう演技をしていたらと思う事がいくつかありました。

日本人スタッフの皆さんは今後、更に良い仕事をするため、反省点などを何度も話し合うのでその影響かもしれません。完成したら終わり、ではない。これは大変勉強になりました。

――倉木麻衣さんともコーポレーションできましたね。

倉木さんの曲は中国で僕も良く聴いていて、いわばひとりのファンでした。初対面の前日のこと、レコーディングスタジオに入りヘッドフォンをつけ、譜面台の歌詞を見るとそこにあるのは歌詞ではなく、倉木さんからのサプライズメッセージでした。「アレックスさんへ レコーディング頑張ってください。 See you tomorrow!」感動で舞い上がってしまい、そのあと歌詞が飛んでしまいましたよ。

青森県のつがる市でのロケシーン。左から曽我美月さん、市井紗耶香さん、アレックス・ルーさん

――今後の予定は?

この映画に出たからと言って、何も今後の成功が保証されているわけではありません。きっと多くの壁があると思いますが、これからも日本で頑張りたいと思っています。

今後も、僕の演技を通して日本のみなさんに中国文化の魅力を感じてもらえたらと思います。

  アレックス・ルーさん インタビューこぼれ話

〈お気に入りの作品〉

『恋空』(今井夏樹監督)

『Love Letter』(岩井俊二監督)

「特に日本のラブストーリーが大好き。胸が締め付けられます。」

〈好きな場所〉

『明日に架ける愛』の舞台・青森の菜の花畑「本物?と聞かれますが、本物ですよ!」

冬の伊豆「普通電車で一人旅。誰もいない浜辺最高!」

〈日本の食べ物についてひとこと〉

納豆「これだけはどうしても無理!」

 

『明日に架ける愛』作品紹介

 

東京・青森・北京を中心に撮影が行われ、中日友好の架け橋となるべく、“受け継がれていく命”をテーマに、「人間の思いやりは国境や民族を越えることができるのか?」と私たちに問いかける。

市井紗耶香とアレックス・ルーによるW主演。運命の再会を果たす幼なじみを好演。そして2人を見守る祖母を八千草薫が演じる。加藤夏希、馬蘇、大杉漣、山本未來、高嶋政宏など、実力派俳優陣が集結している。

監督は「君が踊る夏」の香月秀之。

3月31日 新宿バルト9などでロードショー

『明日に架ける愛』公式サイト

http://www.asukake.com/index.html

 

人民中国インターネット版 2012年3月28日

 

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