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千玄室大宗匠が北京外大名誉教授に
就任式で「鄧小平氏の一言」を披露

 

文・写真=孫雅甜

6月25日、茶道・裏千家の千玄室大宗匠(92)に北京外国語大学名誉教授授の称号を授与する式典が同校で行われた。式典では、韓震同大党委員会書記が大宗匠に任命状を授与し、感謝の気持ちを述べた後、大宗匠が同大学と北京日本学研究センターに教育支援資金を贈呈し、約1時間の記念講演を行い、茶道の作法の一端を披露した。

今年は裏千家と長年にわたって茶道交流を推進してきた北京日本学研究センター成立30周年に当たり、このイベントは一連の記念活動の一環として行われた。

韓書記はあいさつの中で大宗匠に歓迎と感謝の気持ちを述べ、さらに、これまで多くの日本研究者を育成してきた北京日本学研究センターと、長年にわたって茶道を通じて中日友好交流に大きく寄与してきた茶道裏千家に対して次のように語った。「センター成立から30年間、中日関係は紆余曲折を繰り返し、決して順調とは言えなかった。しかし、どんな困難に直面しても、センターの中日教育文化協力プロジェクトは、動揺せず、一度の中断もなかった。これは、裏千家の皆さま、中日の学者らはじめ各界の人々の努力と協力のたまものだ」。

大宗匠は講演で、中国で日本茶道を広げるきっかけになったのは、鄧小平氏の「ぜひ茶道を通じて、『礼』ということを中国の若い人たちに教えていただきたい。茶道を中国に返してほしい」という一言だったというエピソードを紹介した。「お茶を飲む民族はみんな平和で仲良しだ。たった一碗のお茶をいかがですか? という一言で、どんな人同士でも差別、区別なく付き合える。紛争中の人々も刀を置いて話し合うことができ、そうすれば心のピースフルネスが達成できる」と語った。

「お茶を飲む人々は平和で仲良し」と語り掛ける千玄室大宗匠

 

また「私は本当に中国を尊敬している一人だ。中国との縁については、中学時代から漢文の先生の啓蒙によって、中国の漢字や歴史、文化の成り立ちなどに非常に興味を持つようになった」と振り返り、「悠々千古心(ゆうゆうせんこのこころ)」というお気に入りの中国の言葉を紹介し、「悠々と流れている時空の中で、自分だけを見ないで、もっと目を広げて、揚子江(長江)のような大きな流れの中で、人々と接していくことが大切」と説いた。

お茶を点てる千玄室大宗匠(写真提供=周迎)

 

授与式の後、茶道の作法の一つ「且座(さざ)」を披露した。且座は千家茶道の七事式 (しちじしき) の一。客三人と東 ( とう=亭主)、半東 (はんとう=亭主の補佐役)の5人で催す。正客 (しょうきゃく) は花を生け、次客は炭をつぎ、三客は香をたき、主客ともに聞く。

千家茶道の作法「且座」を披露

 

お花を生ける正客

 

炭をつぐ次客

 

三客(左端)が香をたき、主客ともに聞く

 

同日のイベントには、木寺昌人中国大使、吉川竹二国際交流基金北京日本文化センター所長も出席しあいさつした。

 

 

人民中国インターネット版  2015年6月29日

 

 

 

 

 

 

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