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中日友好作文コンクール受賞者が中国を訪問

 

真の中日(日中)友好への道

 

三石雪瑶

 

「あなたは中国に対して親しみを感じますか?」と聞かれれば私はもちろん「はい。」と答える。しかし残念ながら現在の日本社会の約80%以上は「親しみを感じない」「どちらかというと親しみを感じない」(2016年3月内閣府公表。『外交に関する世論調査』昨年10月実施)と回答している。近年、日本では「爆買い」という言葉が流行しているように日本に中国人観光客が大勢訪れているにも関わらず親しみを感じていないということは、日本は「おもてなし」精神を掲げておきながら実はあまり歓迎していないということなのか。歓迎する側も歓迎される側もニコニコしているがその笑顔は表向きのものなのか。私は中国と日本に、そのような表面上のみの浅い関係ではなく、相互尊重がより個人レベルで実現できるような関係になってほしいと強く願う。私は中国人の母と日本人の父を持つ大学生である。幼いころから日本と中国を行き来していたおかげで、日本と中国の良いところも悪いところも見てきたつもりであるし、両国の幸せを常に願ってきた。友好的な中日関係を願う中、いつの間にか19年の時が過ぎたが20歳という区切りを迎える前に、この機会に私の心の思いを書き表したいと思う。

政治レベルでの中日関係は正直に言ってあまり良好ではない。島の問題、南海、日本自衛隊のスクランブル(緊急発進)の回数が過去最高など最近のニュースで見聞きする中日に関する言葉はほとんどが重く暗い問題ばかりである。中日関係を最も難しくしているものは領土や領域に関する問題なのだが、両国が妥協に難色を示すのも理解できなくはない。領土問題は国益に直結し、その国の経済成長や国民の生活に影響を及ぼすからである。以前、中国のガス田開発に関する争いがあり2008年に共同開発区域を設定することまで話が進んだ矢先、2010年に尖閣諸島での中国漁船衝突事件が起き、中日関係は一気に冷え込んだ。また南海に関しては中国と日本やその他の国のシーレーン(海上輸送交通路)が通っているため事態はさらに複雑化している。以上で触れたように現在中国と日本を取り巻く問題はどれをとっても深刻で国の安全や利益に直結するものであり、簡単に結論付けることのできない非常に重要な議題であることが分かる。だが、政治レベルでの争いが私たちに直接関係するとは限らないと思う。漁業船衝突を試みたのが私の隣にいる中国人であるわけがない。それなのになぜ私たちは「中国人は…」、「日本人は…」とひとくくりにしてしまうのだろうか。同じ中国人だってマナーや態度はさまざまであるし、日本人だって皆謙虚でおとなしいわけでもない。つまり相手のことを「○○人であるから…」と捉える限り、中日友好促進どころか友好関係も築けない。相手を一人の人として受け入れてから初めてその人のバックグラウンドや文化、考え方を理解しようという気持ちの準備が整うのだ。相手を○○人だから…というようなステレオタイプという度数が入った色眼鏡で相手を見るようでは、相手のことが歪んで見えるに違いない。

私の大学には多くの中国人留学生がおり、また街中では中国人観光客を頻繁に見かける。私は毎週中国人留学生の友達と卓球を通してコミュニケーションを取っているし、街中で英語をあまり得意としない中国人観光客を見かけたら自ら進んで中国語で話しかけるなど私自身としては、中国は今や飛行機に乗らなくても感じることができる非常に近い存在となっている。つまり現在は中国に行かなくても中国を知ろうとする姿勢さえあれば知ることができる環境があるということだ。ステレオタイプは誰にでもあるが、そのようなステレオタイプは実際の経験を通して変えていくことができる。私が半分中国人であるということを知らない知人が私の目の前で中国人の悪い点について話していたことがあったが、その時私は躊躇せずにその中国人がなぜそのような行動を取ったのかを予測ではあるが文化的背景から説明したうえで、自分が半分中国人であることを伝えた。自分の母国の悪口を聞くことほど悔しいことはないが、私の友人や知人という小さなコミュニティから考え方を変えてもらうために努力をすることが私にできることだと感じる。私たちにできることは相互理解のために一歩を踏み出すことである。少しでも相手(中国人や日本人)と関わってみたいなという気持ちを持てば、それは相手を受け入れる準備、つまり相手を尊重する準備ができたということだ。私は個人ベースの小さな交流こそがいつか政治レベルでの関係に左右されない社会全体での真の友好関係を築くことができると信じている。20歳を迎える今、これまで通り私にできることを行いつつ、今後の友好関係構築に貢献したい。「あなたは中国に対して親しみを感じますか?」これに対するポジティブな回答が80%を超える日を願って。

 

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