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“つきまとう中国語”を身につける授業
学芸大で大きな効果

 

取材=阿羅美奈子

 

「いい意味で、中国語が気持ち悪いくらいつきまとうようになってほしいと思っています」。そう語るのは、教育者を志す若者が全国から集まる東京学芸大学で中国語を教える、アジア言語文化研究が専門の木村守教授だ。

木村教授によると、中国人などの外国人児童や帰国子女が増えていることから、中国語が話せる教育現場の人材が今は不可欠だという。サポート体制が比較的充実している地域はまだいいが、多くの場合、対応は担任教諭の力量に任される。「担任の先生が少しでも中国語が話せれば、中国人児童や両親との距離が縮まるし、信頼関係を築く助けになる」との考えから、学芸大ではコミュニケーション能力を重視した中国語の授業を長年行っている。その中の1つが「表演会」の授業だ。

 

「表演会」で成果を発表する学生。慣れてくると、アドリブで場を盛り上げる工夫も

 

「表演会」の授業では、学生たちが中国語会話の教科書に載っている様々なシーンを、中国人になりきってスキット(寸劇)形式で発表する。ただ頭で中国語を追うだけでなく、中国人になりきることで、体にも「中国」を刷り込もうというのが狙いだ。これを繰り返すことで、木村教授の言う「中国語が気持ち悪いぐらいつきまとってくる」状態を作り出す。

 

発表前に各グループで最後の打ち合わせを行う ホテルのフロントスタッフとお客さんになりきる学生

 

学生たちは、会話内容の暗記はもちろん、どう演ずれば「中国人らしく」見えるかを相方の学生と打ち合わせてから発表にのぞむ。「渋谷で中国人に英語で道を聞かれた時、英語でしか説明できなかった。次は中国語で話せるようになりたい」と話す学生がいるように、学生たちにとっての表演会は、中国語で会話を成立させるための度胸を養う場でもあるようだ。その効果は「中国に行った時、教科書のセリフが気持ち悪いほどボロボロ出てきた」と話す卒業生がいるほどてきめん。学芸大を巣立った彼らは、この表演会で身に付けた「つきまとう中国語」を様々な現場で活かしていくことだろう。

 

「タクシーでの会話」のスキットでは、気さくなタクシー運転手と笑顔の乗客を演じる 日本ではおじぎでも、中国では握手が常識。そんな細かい部分にも、教授からのチェックが入る

 

 

中国語をより「つきまとわせる」ためには、事前の準備が欠かせない。名所旧跡をめぐるスキットのために学生が準備したプリントには、イラストと共に情報がびっしりと書き込まれていた

 

 

 

人民中国インターネット版  2017年7月13日

 

 

 

 

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