海へ、空へ、新たに広がる発展空間

「開発区」を引き継ぐ「臨空経済」

 

 次は、「空」です。「臨空経済」を経済発展の新たなエンジン役としていこうとする都市が目立ってきました。例えば、北京市。「第115カ年規画」(20062010年)で、「順義臨空経済区」を同市の六大産業発展地区の一つとしています。2010年までに同区に百億ドルを投入し、新たなビジネス拠点にし、また中国第3の経済圏として内外から注目されている環渤海経済圏の牽引役に発展させたいとしています。

 

北京にある中国空間技術研究院の展覧ホール

 中国は、1980年代初頭、低コストの海運物流という優位性を利用し、「臨海型工業経済」を発展させました。今日、情報産業の発展につれ航空運輸の役割が急速に高まり、空港に隣接する地区を「臨空経済区」として発展させようとしているわけです。

 

 「臨空経済」とは、空港機能を積極的に活用し、生産、技術、資本、貿易、人口などを空港隣接地区に集積させた新たな経済空間といえます。

 

 北京、重慶のほか、成都、上海、広州、西安、ハルビン、大連、深センなどの空港所在地で「臨空経済発展規画」が制定され、それぞれの特性と機能を生かした発展が希求されています。例えば内陸では、2006年に重慶政府が「重慶空港城(注3)」(規画面積175平方キロ)方案を認可し、現代サービス産業を重点的に発展させるとしています。

 

 中国には、国家の地域発展戦略(沿海大発展、西部大開発、東北振興、中部崛起)がありますが、「臨空経済」は中国各地の空港という「点」を核とした地方政府による新たな地区発展戦略といってよいでしょう。現在、中国各地にある「経済技術開発区」に続く、新たな地区開発拠点に成長する可能性を有しているといっても過言ではないでしょう。

 

 各地区の「臨空経済」の核である空港の相互連携が強まれば、「点」から「線」へと経済発展空間が拡大され、国家の地域発展戦略を結合する役目を果たすと期待できます。

 

 何よりも、「空」で迅速に世界と連結できるという点で、「臨空経済」は中国経済の国際化の最前線にあるといってよいでしょう。今後、対中ビジネス交流では、この「臨空経済」の行方に注目する必要が大いにありそうです。

 

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