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両大会が迫る、呉敬璉氏など4人の経済学者の期待

 

「両大会」(全国人民代表大会、全国政治協商会議)の開催を目前に控え、経済学者が今後の経済をめぐり期待や展望を語った。

 

経済の過熱対策には改革の全面的推進を―呉敬璉氏

 

現在の中国の経済改革が直面する状況について、国務院発展研究センター学術委員会の呉敬璉副主任は「世界経済は下降局面に転じ、長期的には景気は上向かない。欠陥を少なからず内包する中国経済システムに強さが備わらなければ、外界の小さな変動でさえ受け止めることはできないと懸念する」と話す。

 

2003年末以来、呉氏を含む経済学者らは、投資が牽引する成長モデルが採用されたことにより、中国経済には政府主導の投資の過熱という現象が現れると予測した。不幸にして予測は的中し、呉氏は今再び、中国経済の過熱を抑制する根本的な道筋は改革の全面的な推進、特に行政スタイルの改革と政府機能の転換にあると強調する。

 

政府が最近行った一連の商品価格に対するコントロール措置について、呉氏は次のように述べる。物価水準上昇の原因は、通貨の発行量が多すぎることにある。政府が物価水準の安定を保障しようとするなら、通貨の発行量を抑制するしか方法はない。物価は制限したからといって制限しきれるものではない。価格を完全にコントロールしてしまったら、市場は役割を発揮できず、経済構造は改善されず、中国が現時点で抱える多くの経済問題が根本的に解決されなくなる。

 

内需拡大が改革のカギ―魏傑氏

 

清華大学中国経済研究センターの魏傑主任は当今の経済発展の焦点をめぐり、「中国は後退できない。いかにして継続的に進んでいくかという問題を検討しなければならない」と述べた。

 

魏氏は、両会で昨年秋に行われた中国共産党第17回全国代表大会(十七大)の報告をどのように理解し、どのように実践していくかに最も注目するという。

 

魏氏の分析によると、十七大報告では、今後の中国経済には2つのバランスが必要だとの見方が示された。一つは国内経済のバランス、もう一つは国際収支のバランスだ。2つのバランス実現のカギは、経済成長を牽引する輸出・投資・消費の3要素の順番を、消費・投資・輸出に並べかえることができるかどうかにある。これは重大な戦略調整であり根本的な転換でもあり、調整が成功すれば、現在の資金の過剰な流動性、インフレ、資産価格といった問題はすべて流れるように解決するという。

 

だがこれには少なくとも5年の時間が必要だ。今後5年に、多くの中国企業が安価な製品の輸出から国内市場の開拓へとシフトチェンジしなければならなくなる。輸出企業の転換は内需拡大に向けた戦略的調整に並行して行われるものだ。輸出・投資・消費から消費・投資・輸出への並べ替えは一見簡単なことのようだが、今後の政府の経済改革の中心であり課題でもある。内需拡大が改革のカギだ。

 

挑戦に直面する中国の金融競争力―巴曙松氏

 

「今年の両大会は改革開放してから30年間の経済発展の成果や論理、経験を総括するよい機会となるだろう。」中国国務院発展研究センター金融研究所の巴曙松副所長はこのように述べている。

 

巴副所長は次のように述べた。

 

中国の金融業と資本市場は今後新たなチャンスに直面するだろう。欧米の経済発展がペースダウンする時こそ中国の資本輸出のチャンスだと多くの学者が考えている。しかしどのようなチャンスを選び、どのような投資構造で、どのような投資戦略を実施するか、いずれも避けては通れない課題だ。

 

今後の5年は次期の政府の知恵を試す5年となるだろう。中国の金融、保険、証券市場は現在徐々に開放されているが、全面的に開放された市場環境の下では中国の銀行、保険、証券機関の競争力は大きな挑戦に直面することになる。中国政府は今後金融革新のリスクと責任の再評価に直面することになるが、金融革新の力と効率をどのように生み出すかが次期の政府の解決すべき重要な課題になるだろう。

 

農民により多くの公平な待遇を―温鉄軍氏

 

「農民の頭上には3本の剣が吊り下げられている。就学、訴訟、医療だ。」人民大学農業・農村発展学院の温鉄軍院長は2003年に農民にとって最も困ることをこの「3本の剣」に例えた。今日の温院長はこの「3本の剣」の解決の現状について悲喜こもごもといった見解だ。

 

農村の医療問題に対する政府の絶え間ない努力に対して温院長は満足している。訴訟の問題について温院長は、農村に郷土社会の実際に合う処理システムの構築を検討する必要があると考えている。温院長を最も心配させているのは農民の就学問題だ。「より多くの人が現在の中国の高等教育における営利追求主義、『三農』(農民、農村、農業)のニーズからますますかけ離れてゆく現状を知ってくれることを心から希望する」と温院長は述べている。

 

春節(旧正月)期間に突然襲った雪害で多くの出稼ぎ労働者が帰省できず足止めされたが、温院長は都市と地方の二元的構造の体制的矛盾下における一連の問題が雪害によって暴露されたと見ている。「農民は一体いつになったら平等な『国民待遇』を得ることができるのだろう。」温院長は新たな全国両会(人民代表大会、政治協商会議)の開催を目前にこうもらしている。

 

「人民網日本語版」 2008年3月3日

 

 

 

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