チベット自治区の観光業

 

現在、観光客が遊覧できるチベットの景勝地は60カ余所あり、ラサを中心とし、シガズェとロカが結びつき、ナッチュ、アリ、ニンチに放射する観光コースが一応形成されている。

 

――チベット北部高原の年平均気温はセ氏0度以下で、10月から翌年の5、6月にかけては厳冬季節である。8カ月以上氷雪に覆われる寒い季節があり、気温はほとんどセ氏マイナス30度前後で、大風や積雪で道路がとざされることがよくあり、頻繁に雪害に見舞われるため、この時期は観光に適しない。7、8月の気温はセ氏10度前後で、日照が十分であり、草原の1年の中の最もすばらしい季節で、盛大な競馬会もこの期間に行われる。そのため、7、8月はチベット北部の草原を観光するゴールデン・シーズンである。

 

――チベット南部の河谷地帯に位置するラサ、ロカ、シガズェ、ニンチなど各地の年平均気温はセ氏0~11.8度、海抜は1130-4400メートル、4月下旬になると、春は南東部からヤルンズァンボ江に沿ってチベット南部の各地を訪れ始め、10月初めから晩秋の季節に入る。そのため、5月から10月は最もよい観光シーズンで、特に7、8、9月は、内陸部とインド平原は耐えられないほどの猛暑の時期に当たるが、チベット南部の各地は月平均温度がセ氏9.4~18.7度で、気候が涼しく快適であり、理想的な避暑地である。この時期にはシュエトン祭りなどの祭りが催されるため、観光のゴールデンシーズンでもある。11月から翌年4月まではチベット南部の最も寒い季節である。しかし、高原は日照が十分で、湿度がわりに低く、冬季でもとても寒いと感じない。とくにニンチやヒマラヤ南麓にあるザユィ、メド、ザーム町、ツォモなどは海抜がいずれも2600メートル以下で、気候が温暖かつ湿潤で、四季が春のようであり、観光、休暇、療養に適する有名な観光地となっている。冬と春は農閑期で、チベット各地および近隣各省のチベット族の信者が次々と参拝に訪れ、とてもにぎやかである。冬と春にはラサなどの各地で伝昭大法会、燃灯祭り、ポタラ宮の跳神祭り、旧正月、チベット暦新年などの祝祭日がある。都市と農村の人たちは祝日の喜びにひたり、歌ったり踊ったりして、郷土の息吹にあふれている。この時期は民族風情観光、古代文化観光、巡礼、バスーン湖での休暇・療養、温泉浴療養をするわりに理想的なシーズンである。

 

――チベット西部の神山聖湖とゴゲ王朝遺跡を参観する最もよい観光シーズンは6~9月で、そのうち、6、7月の雨季が到来する前に道路事情がわりによい。11月から翌年2月までは、山が大雪におおわれ、道がとざされることがよくあるため、観光に適しないシーズンである。

 

――チベット東部のバンダ空港に近い町と県は年中観光活動を展開することができる。その他の県、郷が高山の峡谷にあるため、厳冬季節の11月から翌年3月まではほとんど大雪におおわれる。7、8月の雨季に土石流や土砂崩れがよく発生する。そのため、この期間は観光に適しない。5、6、9月はチベット東部観光のコールディシーズンである。

 

 

 
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