経済学者インタビュー(4) 都市・農村一体化が改革の最大課題

 

中国は09年、厳しい経済情勢にもかかわらず、体制改革の歩みを速めている。付加価値税の課税方式転換改革や燃油価格・燃油税の改革が次々と実施されたほか、医薬衛生体制改革もまもなくスタートする。社会保障システムの改革もこれに続くと見られる。

「これらの改革はとても重要だが、最重要のものではない。最も重要な改革は、都市と農村の二元体制の改革だ。都市と農村の一体化をこれ以上おくらせてはならない」とリ氏は改革についてはっきりとした立場を示した。

中国には、大量の出稼ぎ労働者が外地で就職しているという非常に特徴的な問題がある。リ氏によると、長期にわたって存続してきた二元体制は、都市と農村の間での賃金・待遇の格差を作り出した。労働力の巨大なため池と化した農村からは、労働者の移動が不断に起こるようになった。このため、労働力の増量という問題だけでなく、農村労働力の残量という問題を考慮する必要が生まれた。就職問題の緩和のために高い経済成長が維持されなければならないのはこのためだ。

「都市・農村二元体制の改革とはつまり、都市・農村の一体化を進め、経済・社会の一体化を進め、格差を縮小し、待遇を同じにすることだ。医療・教育・養老などの社会保障体制の改革にあたっても、都市と農村を統一的に考えることが必要だ。こうすれば、農民の移動も整然としたものとなるだろう」と所ホ氏は指摘する。

リ氏によると、農民にとって土地は主要な収入源であり、社会保障のより所でもある。農村の体制改革は止めてはならないが、土地の運用にあたっては計画的で秩序正しいやり方を考慮しなければならない。重要なポイントは、土地の運用で得られる収入の一部を農民の社会保障向けに使うということだ。

都市・農村二元体制の改革以外に、リ氏は、改革のもう一つの突破口として民営企業を挙げている。民営企業が急速に発展することは、さらに多くの就職口が創出されることにつながる。だが民営企業は現在、市場参入などさまざまな分野で不公平な待遇を受けている。体制にかかわるこの問題もまた、改革のカギとなる問題だという。

*「レー以寧」はがんだれに「萬」 

 

「人民網日本語版」 2009年3月5日

 

 

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