レッドクリフPartⅡ -未来への最終決戦-

 

監督 呉宇森(ジョン・ウー)

2009年 アメリカ・中国(大陸部と台湾地区)    

日本・韓国 144分  2009年 4月日本全国一斉公開

あらすじ

長 江をはさんで曹操率いる大軍に対峙した、兵力では圧倒的に劣る孫権と劉備の連合軍は、さまざまな策略をめぐらす。曹操陣営に忍びこんだ孫権の妹の尚香は曹操軍の一兵卒孫叔財の助けを得て密偵から無事戻り、曹操の兵たちは北方の人間で船酔いしやすいので、普段は船を互いにつないでいることを東呉軍に伝える。

一方、圧倒的に矢も不足している連合軍のため、諸葛孔明は濃霧に乗じて、藁人形を積んだ船で曹操の水軍に近づき、敵の襲来と思いこんだ蔡瑁と張允は雨あられと矢を放つ。おかげで孔明はまんまと曹操軍の矢を10万本もせしめる。有名な「草船借箭」の策である。周瑜も負けじと、曹操に取り入った友人の蒋幹が偵察に来たのを、蔡瑁と張允からの手紙を偽装して騙し、蔡瑁と張允が曹操を裏切っていると思わせる。そうでなくても、大量の矢をみすみす失うという失策を演じた二人に激怒した曹操は、蒋幹の報告を真に受けて、水軍の扱いに長けた、この地方の気候を熟知している二人の首を斬る。

あとは、火攻めの時を待つだけとなるが、孔明が気象予測した東南の風が吹くまでにはまだ間があった。それより先に曹操軍が攻めてきたら、火攻め作戦は使えない。その話を漏れ聞いた周瑜の愛妻小喬は自分に気のある曹操のもとへ単身乗り込み、曹操の出陣を遅らせる。いよいよ東風が吹き、呉軍は曹操の大軍を見事に焼き払う。これが、有名な「火焼連環船」である。

解説

PartⅠの最後にジョン・ウー監督作品お馴染みの白い鳩が飛んだのは、単に白い鳩が好きなだけかと思ったら、そうではなかった。曹操陣営に忍びこんだ孫尚香と孔明との間の伝書鳩だったのだ。そして、白い鳩は「平和」のシンボル。これこそ、まさに監督が映画を通じて訴えたかったメッセ―ジだと監督自身も来日時に語っている。それを一番よく表現したと言えるのが、趙薇演じる尚香と佟大為演じる叔財のエピソードだろう。兵士の家族には租税を免除し、食料をも与えるという曹操の徴兵に応じた純朴な青年が、最後まで尚香が女であることを知らず、戦場での再会の瞬間、命を落とすという悲痛なシーンに、私は全篇を通して一番心を動かされた。それに比べると、周瑜と小喬の夫婦愛や愛馬のエピソードに託された反戦メッセージが、いま一つ私の心には届かなかったのは、単に演じる俳優と女優に対する好みのゆえだろうか。

ジョン・ウー監督お得意の男の友情というテーマに関しては、孔明と周瑜というライバルを、互いの才能を深く買う者同士として描いた点がユニーク。劉備や関羽、張飛、趙雲といった典型的三国志人物をむしろ脇に廻すことで、他とは一味違う三国志外伝を狙ったとも言える。トニー・レオンの周瑜はどう見てもミスキャストだったと思うが、アクションもなく涼しげな金城孔明は、意外なことにはまり役であった。と書いた翌日、香港のラジー賞のもっともヘタレな男優賞にノミネートされていたのが判明。でも、これって演技というより、笑いを取った台詞のせいでは?

見どころ

PartⅠはあくまでエピソード、PartⅡがこの映画の真面目ではあるが、PartⅠの八卦の陣など古代の戦陣、PartⅡの有名な「草船借箭」「火焼連環船」などの策略を見事に映像化したのはさすがである。『三国志演義』はすでに何度も映像化されてはいるが、この映画の特撮を駆使したスケールの大きさと迫力は、ハリウッド映画に比肩、これまでの中華圏戦闘映画の最高峰ではないかと思う。ハリウッド並みなのだから、劇画チックなのは仕方ない。

そして、もう1つの見どころは適材適所の俳優陣だ。主役の諸葛孔明と周瑜は興行収入の要なので、吹き替えを使用しても香港、台湾のスターを起用したが、中国の個性的な男優たちがいなければ、この映画は締まらなかった。蓋を開けてみれば、日本ですら中華圏映画の顔であるトニー・レオンや金城武より、『始皇帝暗殺』以来のスマートな体型と驚異的若さを保つ張豊毅や、現代劇に劣らない、いい男ぶりを発揮した胡軍らの評判のほうが高かったと聞く。日本においては超マイナーな中国大陸男優ファンとして久々に溜飲の下がる思いがした。ついでに告白すると、今回あまた登場する大陸男優の中で私の一番のお気に入りは、孔明に振り回されるボケ役の魯粛役を演じた侯勇である。

 

人民中国インターネット版 2009年7月20日

 

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