日常生活に感じる日本

金小琨 重慶大学                   

 中日交流が深まるにつれて、いろいろな日本的なものが我々の日常生活に入ってきました。周りを見渡すと、日本製のカメラ、コンピューター、車などがいっぱいに目に入ります。でも、「日本はどんな文化に包まれているのか」、「日本人の考え方はどうなっているのか」「その文化は我が国とどんな違いがあるのか」そう深く考えさせはじめるのは日本の目覚ましい技術ではなく、よく見ている日本の童話です。

特に印象深いのは「雪だるま」という童話です。昔々、たくさん雪が降ったので、ある屋敷の一番小さい男の子が雪だるまを作りました。寒くて気持ちいいはずなのに、雪だるまはストーブが好きになって、どうしてもストーブのそばに行きたがっていたんです。そういうことできない雪だるまは部屋の中で赤々と燃えるストーブをじっと見つめていました。友達の番犬は雪だるまの考え方はとても理解できません。天気が温かくなるにつれて、雪だるまは見る見るうちに溶けてしまいました。番犬は雪だるまが立っていたところにストーブの火かき棒が転がっているのを見つけました。なるほど、雪だるまは火かき棒を芯になっていたのです。ですから、あんなにストーブのそばに行きたがっていたんです。童話の終りに、番犬は火かき棒にむかって、やさしく言いました、「俺はね、あんたのことを忘れないよ」。そのとき、屋敷の中から、春の歌を歌う子供たちの歌声が聞こえてきました。

ただの童話ですが、読者に思わず感動させられる力が持っています。たとえば、雪だるまであるのに、ストーブが大好きだという矛盾、番犬は雪だるまに対する誤解と納得、雪だるまの溶けることと春の歌。みな些細なところですが、人の心の琴線に触れられます。読んだら、思わずその悲しみで嘆いて、春の喜びで微笑むのです。まるで私にではなく、直接わたしの心に物語をしているようです。

実は、中国でも雪だるまの童話があります。その初めの部分と雪だるまが溶けてしまう結果が同じなんですけど、ただ、中国の雪だるまが自分を作ってくれた男の子と仲良くなって、そして、その子を火事が起こった部屋から救い出すために、危険も顧みず、部屋に突っ込みました。結局、やっとその子を安全なところに送りましたが、自分が溶けてしまいました。

ただの物語ですが、中日両国の文化の違いが含まれます。中国の文化に主張しているのは、自然に頭を下げないで、工夫をして、客観的な環境を自分に有利するように改造する勇気です。だから、中国の物語の多くは、努力して、厳しい環境を乗り越える主人公を手本として、読者に主人公の精神を勉強させるように強く宣言します。

でも、その逆に、日本の童話の多くは、読者に人生を味わわせて、感慨を覚えさせるようにゆっくりその物語をしてくれます。その童話の中で、自然と一体となって自然の法則とリズムに従って、行動するという日本の文化が感じられます。

そういう違いについて、深く考えると、たぶん日本の文化の中では人の出世することをそんなに強く出張するのではなく、人々に穏やかな心を持たせ、精神世界を大切にするべきだという考え方が代々伝わってきたのかもしれません。

私から見れば、出世する意識に誘われ、こつこつ努力しているうちに、ついつい自分の心は畑も荒れ果てていく人は少なくなくません。だって、名利を求めに向かって、心の中には、自分を見つめるゆとりがだんだんなくなりますから。そのため、我々はときどき「何となく元気がない、理由がないけど、ちょっとだけ憂鬱で、自分を失うみたい」という気持ちに追われるでしょう。

私が感じる日本の文化では、身の回りにいくら騒いでも、静かなゆとりのある心を持つのが望ましいと主張します。童話のような些細なところでも、そういう考え方が伝わってきます。ですから、日本の物語を読むと、さわやかな風がそよそよと吹いてくるかと思えるほどです。

日本の童話ばかりではなく、生活にいろいろの面から、日本のことが感じられます。こらからも、頑張って、日本という古くて、また新しい国を感じて、また考えていきたいと思います。

創作におけるインスピレーション

一年前、日本の童話の本を買いました。録音を聴きながら読むと、すぐ童話の美しい内容と美しい発音に心を奪われて、毎日毎日読んでいました。しかし、読めば読むほど、何か日本の童話と中国の童話は違う感じがしました。さらに、たとえ両方の童話が同じテーマであっても、内容がずいぶん違うこともあります。それは一体どうしてだろうと思って、日中の童話を比べ、考え始めました。それで、特に印象深い「雪だるま」という童話を例として、自分の感想を作文にしたのです。

 また、日本語を二年間あまりしか勉強していなかった私にとっては、自分のよく知っている童話という些細なところから手をつける方がいいと思いました。

受賞の感想

自分が入賞したと知って驚きました。作文コンクールに参加したのは、恵まれた機会を捉え、作文を楽しみながら、自分を磨きたかったからです。もちろん受賞するとは思いもしませんでした。本当にうれしいです。しかし、振り替えてみると、いろいろと考え、工夫をして、自分の考え方を日本語で表わすことができたのが一番楽しかったです。

日が経つのは早いもので、もう三年生になりました。この二年間あまり、怠けたいときもあれば、気が落ち込んだ時もあります。しかし、「心を定め、希望を持って歩むならば、必ず道が開けてくる。深い喜びもそこから生まれてくる。」という松下幸之助の言葉を心に刻んで頑張ってきました。

また、重慶大学で日本語を勉強できたのは本当にありがたいことだと思います。学院からの行き届いたご配慮、先生の熱心さ、学生たちの学習意欲の高さ。こんなに勉強する良い環境の中で、私は二年間も成長してきたのです。

今度の作文コンクールに参加して、認められる機会を得ることができましたことに、心から感謝申し上げたいと思います。

 

人民中国インターネット版

 

 
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