ハチミツとクローバーと……

——日本を感知する――生活の中の日本のエレメント日本のアニメ

陳媛媛 中国海洋大学

 真夏の太陽がキラキラと光っている。蝉の鳴き声、解けたアイスクリーム、青い青春……きっと忘れることはないだろう。私たちがどうしようもないほどあまく、奇跡のような時間を過ごしていたことを。

私はアニメのファンだ。休みのたびに、いつもアニメを見ていた。今度の夏休みに私と出会ったのは「ハチミツとクローバー」という青春物語だった。私と同じ大学生たちの物語にとても共感して、涙が出るほど感動した。青春とは何だろう。私はずっと考えていた。この作品からたくさんの答えをもらえた。

青春はみんなで一緒に、青空の下で四つ葉のクローバーを探したあの友情の匂い。

青春は人生の目標を決めて、それを目指して毎日頑張って前に進むときの努力。

時が過ぎて、何もかも思い出になる日はきっと来る。でも、みんながいてただひとつのものを探したあの日々は、いつまでも甘い痛みとともに、胸の中の遠い場所でずっと懐かしく回り続けるんだ。「ハチミツとクローバー」を見て、青春の意味そして人生の意味を考えた。

幼い時、親は共働きだったので、私はずっと一人ぼっちだった。しかし、全然寂しい感じがしなかった。それは、アトムやドラえもんのような「友達」がいて、楽しい日々を過ごしたからだ。日本のアニメを好きになったのもあの時からかもしれない。あれからたくさんのアニメを見た。宮崎駿の作品集やClampの「X戦記」を見て、自然と人間の関係、地球の環境問題の深刻さを知った。「テニスの王子様」を見て、最後まで全力で戦うという精神に感動した。「鋼の錬金術師」「NARUTO」を見て、希望を持ち、未来を信じて前に進むという強い心を学んだ。振り返ると、私が成長してくる道にいつも日本のアニメの姿が見える。「ハチミツとクローバー」のように私にいろんなことを教え、いろんな世界を見せ、たくさんの感動をくれた。

考えてみれば、違った国なのに、違った文化なのに、言葉も分からないのに、どうして自分が共感できるのか。どうして好きになれるのか。最近はやっとその理由を見つけた。まずはその美しい画面だと思う。たとえば、宮崎駿の「千と千尋」という作品に、鮮やかな色で魔法の世界を描いた。青い空の下に赤い建物が建っているあの画面の鮮やかさは今も印象に残っている。それに、作品の中の音楽だ。千尋と白竜が二人で空を飛んだ時、背景音楽としてシンフォニーが流れた。青い空と青い海を見て、シンフォニーを聞いて、白竜の記憶が蘇った喜びを感じた。自分も飛べるようになった気がした。最後に内容の豊かさと話題の深刻さだ。「千と千尋」の中では教育問題や環境問題が語られていた。  

さらに言うなら、人の感情は同じだということだ。国が違っても、言葉が通じなくても、人は真、善、美を求め、愛を求める気持ちは同じだと思う。この気持ちはまるで二つの文化をつなげ、強く倒れない“橋”のような存在だと思う。この橋があれば、違った文化であっても、お互いに分かり合い、理解し合うことができると思う。たとえ誤解が起こっても、軋轢が起こっても、この橋があれば、お互いの交流によって、理解し合うことができると思う。それならば、私は橋をつくるひとつのレンガになりたいと思った。それで私が日本語を勉強すると決めた。かつて鑑真や阿倍仲麻呂のような人が中日友好のために頑張っていたように、私も両国の為に働こう。アニメだけでなく、いろんな方面から日本のことをもっと勉強しよう。そして、将来翻訳家になりたい。両国の文芸作品を翻訳して、中日両国の交流と理解のため、自分の力を捧げたい。一人では小さい力かもしれないが、塵も積もれば山となる。一人一人の力が集まれば、きっと中日友好という願いが叶えると思う。本当は中日の間の“橋”がきっとしっかりかかっている。

この夏休み、私は自分の目標を決めた。これから、その目標を目指して、一日一歩ずつ頑張って前に進みたいと思う。

この夏休みのことを決して忘れない。真夏の太陽がキラキラと光っている、蝉の鳴き声、解けたアイスクリーム、今年の夏、「ハチミツとクローバー」と……

創作におけるインスピレーション

私は小さい頃から日本のアニメが好きで、たくさんの作品を見てきました。私の生活の中の日本のエレメントときたら、まずはアニメです。それに、たくさんの作品を見ているうちに、いろんなことを学んで、たくさんの感想や考えを積み重ねました。たとえば、国が違っても、言葉が通じなくても、人は真、善、美を求め、愛を求める気持ちは同じだということから、共感することができ、よりよい関係を築けます。こういう気持ちを表したくて、この作文を書きました。

一人では小さい力かもしれないが、塵も積もれば山となる。一人一人の力が集まれば、きっと両国の間に強い絆が結ばれるでしょう。今後、中日両国の関係がさらに前進することを心からお祈りします。

受賞の感想

このたび、「笹川杯日本語作文コンクール——日本を感知する」で優秀賞をいただき、とてもうれしく思います。まず、審査委員会および全ての関係者の方々に感謝申し上げます。そして、指導してくださった先生方にも感謝の意を表したいと思います。

作文のとおり、私は小さい頃から、日本のアニメを見て、日本語が好きになりました。そして、大学に入って、日本語を学ぶことに決めたのです。大学の四年間、いろんな日本語の本や雑誌を読みました。その中で、先生が紹介してくれた「人民中国」がとても好きです。この雑誌を通して、中国のことを日本語でどういう風に表現するのかを勉強しました。ですから、ネットで『人民中国』雑誌社によって主催された作文コンクールのお知らせを読んだとき、私はぜひやってみようと思いました。思いもかけなく受賞したが、今回受賞したことを励みとして、これからは中日交流のためにもっと自分の力を捧げたいと思います。

 

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