日本のイメージ

程天然 江南大学

 タクシーがひとりでにドアが開いたり閉まったりする。そして、降りるとき、車外に降り立って、ドアはそのままにして放っておけばいいのは日本しかないと言われている。

コインを入れれば商品が出てくる自動販売機は、アメリカで発明されたものだそうだ。しかし、それを、冷たいジュースから、熱いコーヒーまで、日本酒からてんぷらまで出てくるようにしたのは、ただ、日本だけである。

乗車券の自動販売機は、先進国にもある。だが、さまざまな種類のコインを自由に飲み込んで、おつりまで出してくれる機械は、日本独特であると言われている。

とにかく、日本はこんな高度な科学技術を持つ国である。これは、私が一衣帯水の隣国、日本に関して,一番最初に感じ、そして最も強烈に残っている印象である。

私は、大学で教科書を学ぶ以外の知識を、文学から学ぶことが多い。たとえば、東山魁夷という画家の「一枚の葉」という話がある。「人はもっと謙虚に自然を風景を見つめるべきである。それには、旅に出て大自然に接することも必要であるが、異なった風土での人々の生活を興味深く眺めるのもよいが、私たちの住んでいる近くに、たとえば、庭の一本の木、一枚の葉でも心をこめて眺めれば、根源的な生の意義を感じ取る場合があると思われる」。

日本人は特にこのような自然の変化に敏感であり、一瞬の変化に中にもまとまりを感じとる感受性の豊かさを持っている。

私は、この地球が人間だけの所有物ではないと考えている。そして、日本人は、自然の生物を大切にする。一枚の葉に限らず、自然が人間だけが住む世界ではないことを教えてくれると考えているからだ。山や川、海や空、雲、雨、雪などだけではなく、草だとか、花だとか、鳥や、獣とかいった生物たちから、強く生の意義を感じ取るのは、日本人である。自然を人間と対立するものとは考えず、自然の恩恵に感謝しながら生活し、自然と調和、共存していこうとする考え方は、日本人が古来から持ち続けている自然観である。

夕日に古い町沿いの紅葉の木が照り映え、先端的な自動販売機が並んでいる。青い空にそびえたっているモダンビルと、日本家屋の住まいが調和して、大変美しい。このように日本は、まさに科学技術と自然が共存している国である。これは、今、私が最も強く抱いているイメージである。歴史的な問題もあり、中国の発展は日本より三,四十年ほど遅れてしまった。けれども、もし、中国が経済を追い求めるだけでなく自然を大切にする心を忘れなければ、美しい国になることは、単なる理想ではないだろう。

選評コメント

最先端の技術と自然を大切にする心が共存している日本。そのイメージが、ほぼ完璧な日本語で描かれている。「この地球が人間だけの所有物でない」という筆者の言葉に同感。

創作におけるインスピレーション

私は、大学に入学し、日本語を学ぶようになってから、日本に関心を持ち、日本のことと触れるようになりました。この大学生活4年間の中で素晴らしい日本語の先生に出会い、また多くの日本人の友達が出来て、交流出来たことは私のたくさんの収穫になりました。しかも、日本人はとても自然観が深く私に影響を与え、そのことは私の心に深く刻まれました。それから、教科書を学んでいる時に、図書館で勉強している時に、もっと日本人の自然観の深い理念に出会いました。

もともと私の日本に対するイメージは、科学の先進技術の素晴らしさです。それから日本という国を知り、更に美に対する感覚が生まれました。それは、日本の景色のことです。私の夢は大学卒業後に、私の大好きなカメラを持って日本の美しい景色をカメラで撮ることです。日本の著名的な撮影家の竹内信敏や東山魁夷と同じように、自然を撮り脳裏に焼き付けたいのです。

日本語の先生が私にこのコンテストを教えくれた時、私は是非、心の中のことを書きたいと思いました。幸運にもこの賞を取れました。誠に感謝いたします。

受賞の感想

今回、私は<2009年の笹川杯作文コンテスト>で優勝奨をいただきまして、とても光栄です。まず、主催団体および全体の関係者たちに感謝申し上げます。

本文を執筆するのは私だけであったが、数多くの人々の手助けがなければ完成できなかったと思います。次に何よりも、私の教務課の金明姫先生に深く感謝しなければならない。それから、私の在学している江南大学の日本語学科の諸先生が励ましてくださったことも、私には大きな力となります。

さらに、このような観念を私の心に深く打ち込んでくださり、物事が反映している深刻な筋をしっかりマスターできるように指導してくださった日本友人に感謝を申し上げます。

最後にいつも私を支えてくれた両親に感謝の念を捧げなければならないと思います

何百年の間、自然と風土の中に育まれてきた伝統な観念を、新しい機械文明に前に、ただ古臭いからといって、よく考えもせずにほうむり去ってしまっています。それで、われわれは自分の自然観を大切にしべきです。

 

人民中国インターネット版

 

 

 

 
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