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雲南省建水県碗窯村の紫陶 紫地に浮かぶ彩色の書画

 

問題抱える紫陶産業

丹青昆明書家協会の名手、王家寧副主席は、長期間ここに招かれて、生地の上に揮毫している
現在、碗窯村には、40数軒の工房がある。どの工房の庭にも、陶土や紫陶の製品、半製品が所狭しと置かれている。ある工房の主人である袁応徳さんは1948年生まれで、すでに還暦を迎えたが、身体はいたって壮健だ。袁さんは熱心に自分の作品であるいくつかの大きな花瓶を紹介しながら、「いいものが焼き上がると、売りたくなくなって、ここに置いてずっと伝えていきたいと思うのです」と言った。

袁さんは14歳から陶器工場で働き始め、紫陶の名匠・向逢春の息子に師事して、5年間、腕を磨いた。18歳になると、非凡な才能が開花し、陶土づくり、轆轤引き、彫刻、焼成のすべての工程に通じ、とくに生地を轆轤で引く腕に優れていた。そのため、袁さんは有望な人材として、江蘇省宜興に派遣されて学び、大いに見聞を広めた。

その後、彼の作品はずっと評価され、定年退職しても絶えず陶芸の制作を続けた。とりわけ陶質の急須は人気が高い。ここ数年、彼は数多くの大型の作品を作り出している。例えば、その中の玉蘭の瓶は、轆轤引きの難度が高く、同業者も感服する出来栄えだ。古い形の瓶に中国画を描いた博古瓶や如意壺は、さまざまな賞を獲得した。

袁さんは自宅に工房を置き、窯も持っている。一人の弟子と30数人の陶工が働いているが、焼いた作品は市場の需要に応じきれないほど大人気である。彼は「やれる限りずっと続けていくつもりだ」と言った。

建水県の紫陶研究会の謝恒会長は書画の専門家であり、長年にわたって紫陶文化の研究や文化遺産の保護に尽力してきた。謝会長は現在、紫陶の生産が抱える問題についてこう述べている。

「紫陶は急速に発展したが、課題も多く、憂うべき状態にあります。例えば、紫陶の製造企業の多くは小さい工房で、科学的な技術管理に欠けており、どの工程も技術は師匠の口伝や実地指導によって受け継がれているため、レベルがまちまちです。それに無秩序な価格競争によって、市場が混乱し、大量生産の花瓶や味噌甕、汽鍋のような日常用品の市場は、すでに飽和状態です。しかし、一方で高級紫陶の生産は国内外の需要に応じきれない状態です。過度に商品化を追求すると、紫陶の質が低下し、継承者がいなくなってしまうというジレンマを抱えているのです」

また別の専門家は、建水の紫陶産業を復興させるうえで、「工があるが、芸がない」というのが最大の問題だと厳しく指摘している。製品の質をレベルアップし、建水の紫陶産業を復興させるという点では、建水の各界は一致している。関係部門も、建水の紫陶の復興計画の策定に着手した。

彫ったところに色のついた陶土を入れて埋める。建水の紫陶の地は、酸化鉄を主な成分とする赤い粘土で、埋め込む顔料は、珪素が含まれる白い粘土やさまざまな色の天然の陶土

まだ乾いていない生地に彫刻を施す

 

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