誇れる任務を笑顔で遂行  
 

王新玲=文

 武装警察上海市総隊は、万博のセキュリティーを担う主力部隊である。セキュリティーの最前線に立ち、主に万博会場周辺の警戒、重点ターゲットの防衛、武装パトロール、重点地域の守備などを担当する。「万博の期間には、徹底的に安全を保障しなければならない」ということは胡錦濤国家主席の指示だが、武装警察本部の共産党委員会も彼らに「万博のセキュリティー関連任務をとどこおりなく完遂すべく、部隊の安全と執務目標の達成を確保しつつ、中国武装警察のよいイメージを提示する」ことを求めている。

想像をこえる緊張とプレッシャーの中にあって、北京オリンピックの期間にもセキュリティー任務を担当した武装警察上海市総隊は、どうやってこの大イベントの任務を遂行するのだろうか。そこで本誌は、武装警察上海市総隊の胡漢武政治委員にインタビューをおこなった。胡氏は、「万博は大イベントで、大イベントには大きな情熱が必要だ。万博のセキュリティーを担当することで、現代軍人の中核となる価値観を育みながら、万博をより素晴らしいものにしたいし、執務に当たる人たちを立派に育てていきたい」と語った。

――万博セキュリティーの仕事では、「ソフト、スマイル、エチケットもまた力なり」というフレーズを打ち出しています。観客は万博の期間にスマイルを絶やさない武装警察の姿を目にするだろうということですが、どうやってこのような変化を目指すのでしょうか。

胡:万博セキュリティーの任務はかなり開放度が高いです。つまり、これまでは基本的に来場者と直接ふれあうことはなかったが、今回は多くの国内外の観光客と向きあう必要があります。軌道交通での仕事は特にそうです。われわれは「顕微鏡の下で執務しながら、虫眼鏡の下で仕事をしている」といっても過言ではない。胡錦濤総書記は「現代的な武装警察の力を確立すべきだ」と語っているが、私が思う現代化とは、時代、環境、任務に即したものです。セキュリティーの仕事であっても万博のテーマを具現するべきで、万博がセキュリティーによってさらに素晴らしいものとなってほしいと思います。ですから観光客にプレッシャーや不快感を与えてはならないと考えているし、われわれは執務理念と執務方式の転換を、重要な任務のひとつにしている。これまでは任務を遂行するだけだったが、今回はソフト、エチケット、平和、規範という執務理念を強く打ち出したいです。

現在、「スモールパーク、ビッグワールド」、「個別軍人の行為、国のイメージ」、「小事が大事を生み出すことを避ける」、「ソフト、スマイル、エチケットもまた力なり」という理念は、武装警察の考えや行動に深くしみこんでいます。私が視察を行っているときに、こんな光景を見かけた。ある外国人がカバンに汚れがあって困っているのをみて、われわれのスタッフは布で拭いてあげていたんです。

――万博安全保障の仕事は重要ですが、長期にわたります。どうやって執務担当者のモチベーションを保つのでしょうか。

胡:政治的に見て、万博に貢献し、万博を守ることは、われわれの使命です。その使命感をモチベーションの維持につなげます。また教育を行いながら、彼らが抱える困難を解決すると同時に、信賞必罰システムを制定して、部隊のモチベーションを保ちます。万博は大イベントなので、大きな情熱が必要です。現在、彼らの士気は高いが、それぞれ異なる段階で異なる教育・管理を行わなければならない。これからは、さらに厳しいトレーニングを実施するし、万博の期間に直面する可能性のある問題については、段階、手順、任務、タイプに分類して、科学的に解決するつもりです。

――万博セキュリティーチームには、大学生も含まれていますが、その主な役割は。

胡:大学生は相対的に資質が高いし、民主に対する意識や文明意識も高いです。それにインターネットなどを通じて、万博の知識を非常に多く持っています。トレーニングは本来10日間の予定だったが、5日で終了できました。われわれが彼らから多くの知識を得ることさえあったくらいです。われわれは、彼らに任務を与えながら、彼らが万博セキュリティーでみずからの長所を十分に発揮できるようにしたいと思っています。現在、彼らは末端の党支部や共産主義青年団支部の宣伝部、中隊の各小グループで活躍しており、部隊に活力をもたらしている。

――実務担当者たちのプレッシャー緩和の面では、どんな方法をとっているのでしょうか。

胡:万博の期間に何事も起こらないようにするのが、われわれにとってもっとも大きなプレッシャーです。しかし、人間の気力と体力には限度があり、どうやって彼らをリラックスさせ、プレッシャーを軽減させるかを検討しています。彼らの生活条件をできるだけ改善しながら、中隊ごとに内部放送、内部ネットワークをつくって、全員がより多くの情報を把握できるようにしています。プレッシャーが比較的大きい人に対しては、両親の慰問訪問を認めました。このほか、各班が巡回図書室、巡回レポート、巡回車両教室を設け、全員の生活を充実させている。また、文芸チーム、医療衛生巡回診察チーム、リラックスルーム、心理マッサージ体操、女性カウンセラーなどの方法で、彼らの気持ちをリラックスさせ、プレッシャーを軽減しています。

――万博を守ることは武装警察の使命です。彼らは万博を見学するチャンスはありますか。

胡:任務を担当する部隊にも、万博を見学する機会を与えました。われわれの部隊もいくつかの組に分けて万博を見学することにしていますが、これも一種の教育だと思う。万博見学を通じて、彼らが中国や世界を知り、自分たちが守っている場所を理解させたい。しかし仕事を考えると、万博の期間に、セキュリティーを担う武装警察が個人で万博を見学するのは難しいのでしょう。

 

人民中国インターネット版 2010年4月29日

 

 

 
 
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