温志宏 劉夢羽＝聞き手

リード氏と中国との交流は長く、はやくも1973年に米国の第二回訪中団に随行して北京を訪問。2003年九月には米中合作の大型叢書プロジェクト『中国文化と文明』の米国側リーダーを務め、中国外文出版発行事業局との折衝にあたった。

2009年11月、リード氏は上海万博事務協調局を訪問。今年4月30日の夜には、国連事務総長潘基文（パンキムン）氏の代理として開幕記念式典への出席も予定されている。

万博開幕を控え、『週刊万博』はリード氏（以下「リード」と略称）に特別インタビューを行なった。世界の文明の調和と発展や、新興諸国および発展途上国の経済の発展とその可能性に注目し続けるベテラン国連事務次長の目には、グローバル時代の上海万博が中国と全世界にどのようなチャンスや経済的メリットをもたらすと映っているのか。それを探ってみた。

――国連は、世界的な交流会である万国博覧会をどのように見ているのですか？

まずは国連事務総長潘基文閣下の代理として2010年の上海万博開幕式に出席できることを光栄に思っています。このたび、国連傘下のおよそ四十もの機構が上海万博国連館の展示に参加しました。潘基文事務総長の提案により、今回の万博国連館でははじめて「ひとつの地球、ひとつの国連」をテーマとし、国連のあらゆる活動の成果を展示することにしています。

――これまでにはどの万博をご覧になったことがおありですか？印象深かった万博について、その最も心が動かされた部分についてお聞かせください。

私は以前に一般市民としてモントリオール万博を見学したこと、国連の前事務総長・ガリ氏の代理としてスペインのセビリア万博のイベントに出席したことがあります。それぞれの万博はみな異なる時と場所で開催されたものですし、それぞれ大きな出来事でしたよ。

――開幕半年前の2009年11月に上海万博局を訪問された際、上海万博に対する期待のほどはいかがでしたか？なにか懸念することはありませんでしたか？また、上海万博がより深く大きな影響を及ぼすためには何が重要だとお考えになっていますか？

上海は世界的な大都市のひとつです。上海万博のテーマである「より良い都市、より良い生活」というのはまさにぴったりなものですよ。

現在、国際社会にとって、急務かつ最も重要な問題は気候変動であり、潘基文事務総長もこの問題にいちばん心を砕いておられます。事務総長は、国際社会が一致団結してグローバルな気候変動に対処するよう求めています。「気候変動とは、われわれ人類という大家族みんなが直面している最大の挑戦なのです」とおっしゃっています。

貴国の胡錦濤国家主席はすでに国外に向けて、上海万博は史上前例のない万博となるでしょう、とおっしゃっています。私はこの言葉に今回の万博の特色が現われていると考えています。

上海万博は毎日50万人あまりの見学者の来場を見込んでおり、六カ月の展示期間内に見学者が一億人以上に達するであろうと予測しています。中国政府と国際社会はこれを「千載一遇のチャンス」として、都市住民の環境保護に対する意識が今後も低下しないよう、人々にそれを勧め、教育する重要な機会とするべきですね。統計によれば、現在の世界の半分近くの人口は都市部とその周辺で暮らしています。そして、この割合は今後もより迅速に増えていくと見られています。「都会のジャングル」の住民たちは、気候変動への対処のなかで積極的な役割を果たすべきであると思いますね。

――上海万博のテーマは「より良い都市、より良い生活」です。この上海という街が最もあなたの関心をそそるのはどのようなところですか？もしも「良い生活」の願いを叶えるとすれば、上海はどの面で努力することが必要でしょうか。

今回の万博のテーマは時宜を得たものです。上海市が開催する今回の万博にぴったりだと思います。他に注目に値することとして、百五十九年前の第一回万博の開催以来、上海は発展途上国ではじめて万博を開催する都市となるということです。

「都市生態圏」とは国連がグローバルな規模で重点的に推進している戦略的項目で、都市化への挑戦を目指しています。多くの新たな形式――ナレッジネットワークと都市形態の管理を通じて、エコロジカルな都市と都市群の建設や、人類と自然との調和的な関係の再構築を目指すという試みです。

私は、上海は都市発展の未来を代表していると考えています。ここでひとつ提案をさせてください。我々は「より良い都市、より良い生活」というテーマの意味を忘れることなく、今回の万博終了後も継続してこの目標を目指していくことです。「より良い都市、より良い生活」を目指すことは、われわれの子孫たちの幸せのカギとなるのですから。

人民中国インターネット版　2010年5月10日