一日を振り返る  
 

2010年上海万博日本国家館館長 江原規由

作者
パビリオンで働く人々は、毎日が判で押したようなスケジュールです。特に万博サイトの端に用意された万博村と呼ばれるパビリオン関係者専用アパートに住む勤務者は五分ごとに来る通勤バスに乗って出勤です。万博史上最多の海外パビリオンが参加する上海万博には、世界各国・各地からいろいろな服装をまとい、言葉を異にする多くの人が参加しています。通勤バスはミニ世界の様相です。

こうした外国人の共通語は英語ではありますが、中国語を操る外国人が多いのには、驚かされます。この間、カナダ館に招待された時のことですが、司会も務めたホストの流暢な中国語には驚かされました。世界における中国の存在の大きさを感じました。通勤バスは五分足らずで入園ゲートに着きます。簡単なセキュリティチェックを受け、入園となりますが、チェック担当者は、日本人と知ってか、日本語で簡単な挨拶をしてくれます。今日は、「ご協力ありがとうございました」と言ってくれました。

日本館では、朝八時に会議をやり、前日の状況、課題、そして当日の予定などが議題に上ります。館長室で再度、今日のスケジュールを確認します。この頃になると、多くの来館者が待ち列を作っています。九時半に最初の来館者が入館し22時30分に閉館します。一回に600人ほどを、20分間隔で一日36回入れるわけですが、時には、来館者といっしょにまわり、皆さんが何をどうご覧になっているのかなど、見させていただいています。

展示空間20分に日中の交流の歴史、日本の自然、クールジャパン、環境・省エネ関連最新技術、環境保護活動、プレショー20分に朱鷺の物語と最新技術の紹介、立見観覧、メインショー20分に朱鷺と環境の物語、着席観覧などの予定をしているのですが、展示空間をもう少しゆっくり見てほしいと、いつも思います。ここには、「より良い都市、より良い生活」のための多くのヒントがあります。ゆっくり左右を見てそれらを発見してほしいと思います。

万博村からの眺め

毎日、多くの内外の要人が来館され、取材チームもたくさんやってきます。よく「日本館は人気館と聞いている」といわれますが、うれしいことです。パビオン勤務者たちは昼食や夕食は不規則で、食べられないこともあります。近くには、コンビニや食堂がありますが、昼食時は多くの人で賑わっており、時には、食べたい弁当が売り切れていたりします。カロリーの高い揚げ物や塩分がかなり高い稲荷と海苔寿司セットなどに触手が動きますが、こうしたものを毎日食べるとやや健康が気になります。弁当を温めてくれるサービスがあるのは助かります。今日は、寿司セットを買いました。

館長室は十畳ほどです。事務の机とイス、接客用の机と椅子、そして日本館の模型があります。ゆっくり腰を落ち着ける時間はあまりありません。夕食をとるのは21時以降がほとんどです。来客対応と打ち合わせに追われ、明日の来客スケジュールを確認して、また、通勤バスで帰宅となります。

私は、万博村に住んでいます。全部で30棟ほどあります。万博村にもコンビニがあります。こちらは各国・地域の人たちで賑わっています。肉まんやご飯のお弁当、パンの売れ行きがいいようです。なんと日本式のおでんもあります。北向きの部屋からは万博会場は見えませんが、浦東中心街の高層ビル群、南浦大橋の雄姿が望めます。今日の眺めは、夜景が小雨に霞んでいますが、目を休めるにはいい眺めです。

 

人民中国インターネット版 2010年6月7日

 

 
 
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