数字に対する中国と日本の好き嫌い

長春理工大学 李成英

数字を含まない言語があるだろうか。数字は情報を伝えるだけではなく、人々の感情も伝える役割を果たしている。国々の風習の違いによって、数字に込められた感情と意味は違う。中国と日本ではどうだろうか。中国と日本は確かに地理的には近いが、数字の好き嫌いは違う。

日本人は奇数が好きだ。日本の祝日は一般的に奇数日である。例えば、雛祭りは3月3日、端午の節句は5月5日、菊の節句は9月9日、七五三は11月15日、妊娠五ヶ月の帯祝い、生まれてから七日目のお七夜、生後一ヶ月ごろのお宮参りなどの祝日は奇数である。お年玉と結婚の祝儀も例えば三万円とか五万円とかの奇数である。お年玉をあげる時は一般的に小学生は千円、中学生は五千円、高校生は七千円、大学生は一万円だ。結婚式の時、新婦と新郎は三三九度で固めの盃を交わす。また日本人は奇数で物をまとめるのが好きだ。例えば、三景、三名山、三大温泉、七草粥、七夕の和歌、三大歌集、七宝などたくさんある。和歌と俳句は日本の文学でもっとも民族性を持つものだ。日本の和歌は五七五七七で、31音を定型としている。例えば、遣唐使の阿倍仲麻呂の「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」の歌は31音で帰りたいけれど帰れない郷愁を表している。俳句は五七五の17音を定型としている。松尾芭蕉の有名な「古池や 蛙飛び込む 水の音」はたった17音で「一瞬の美」を表現している。和歌にしても俳句にしても各行の音は奇数で、行数も奇数だ。

日本人が忌み嫌う数字は4と9だ。9の発音は漢語の「苦」と同じで、4の発音は「死ぬ」の「死」と同じだ。お節料理のお重の四段目は「四の重」としないで、「与の重」とする。日本の病院には4と42(死に)の病室がないと言われている。

日本人は奇数が好きなのに対して中国人は偶数が好きだ。プレゼントや祝儀は偶数である。お客をもてなす時、料理を盛る皿の数は偶数だ。葬式の時は一般的に三枚の皿、三組の箸、三杯の酒だ。中国人は偶数で物をまとめるのが好きだ。例えば、四大発明、四大名著、四大美人、四君子、八仙過海などたくさんある。中国の七言詩、五言詩は各行は奇数だが、行数は偶数だ。また、中国人は8、6、9という数字が好きだ。8の発音は「発財」の「発」に似ているし、6の発音は「流利」の「流」と同じで、順調の意味だ。9の発音は「久」と同じで、永久の意味である。

中国人は「四」で物をまとめるのが好きだが、日本人は、4という数字が好きではない。というのは、4の発音が「死」に通じるからだ。

中国人と日本人とでは数字の好き嫌いは違うが、好き嫌いの原則は大体同じである。第一は数字の発音だ。4を忌み嫌う原因は「死」の発音と同じからで、日本の電話番号の中で一番嫌われるのは「8342(破産しに)」と「4279(死に泣く)」だ。中国では「521」の発音は「我爱你」に似ているから「521」は愛してるという意味になる。第二は実用の意味がある。携帯のメールでは「084(オハヨウ)」は「おはよう」に、「39(サンキュウ)」は「ありがとう」になる。このような例はたくさんある。例えば、化粧品会社の電話「0120-469768(白くなるわ)」、自動車保険会社の電話「0120-840840(走れ走れ)」、外国語学校の電話「0120-324929(身によく付く)」、おむつを売る会社の電話「0120-041062(よいおむつ)」、このような番号は覚えやすい。第三は人間の心理だ。意味がよくない数字を忌み嫌って、縁起がいい数字を好む。中国人は電話番号と自動車番号を選ぶ時8と6が好きだ。8と6には金運に恵まれて、何でも順調に進むという願いがある。

中国人と日本人はそれぞれ好き嫌いの数字がある。その違いから両国の文化の違いが分かる。数字のように、中国と日本は生活習慣、宗教観、考え方などが違う。私たちはその違いを知らなければならない。違いを知ったら、お互いに理解ができて、両国の交流も更に前進する。

評:中国人と日本人の「好きな数字論」というテーマは今回も多くの応募者が取り上げているが、この筆者は統計的にかなり深く調べており秀逸だ。日本語レベルはAクラスでスムーズに読める。

 

 

 
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