「十二・五」の経済成長率7%が意味するものは?

 

国務院の温家宝総理は27日、新華社のウェブサイト「新華網」と中国政府網を訪問した際、第12次五カ年規画(2011-2015年 以下「十二・五」と略す)では中国の経済成長ペースは7%と確定され、業務の重点が高度成長の質と効果とに置かれていると発言した。「中国証券報」が伝えた。

 7%はここ20年ほどの五カ年計画では低い目標値だ。現在、経済成長が緩やかに好転する中で、国内総生産(GDP)成長率の目標を引き下げたのはなぜだろうか。実際のところ、引き下げは経済の中長期的な発展をより多く検討した結果といえる。科学的な発展をテーマとし、経済発展モデルの転換加速を基調とした計画の要求を踏まえ、「十二・五」期間には経済構造の新たな戦略的調整が行われる予定だ。

 「十二・五」期間に一連の経済的指標の割合が良い方向へ変化することが期待されている。たとえば投資と消費の割合、各産業の割合、内需と外需の割合などだ。これは経済成長の路線とペースに対して新たな要求をうち出すものであり、その重要な内容の一つは経済成長ペースの適切な引き下げだ。消費率の効果的な引き上げを例に考えると、国民の消費傾向と政府の消費シェアといった要因がほぼ変わらないとして、「十二・五」期間のGDP成長率が10%を超えると、投資率と消費率はGDP成長率と対照するとのルールを踏まえれば、消費率の上昇は実際にはかなり難しくなる。

 最近、中国経済の実質成長率が明らかに計画を上回っている。重要な要因として地方政府の奉じるGDP神話が上げられる。大規模工事がしばしば行われ、エネルギー消費量の大きい産業がたびたび動き出す。「十二・五」の成長ペース目標を適切に引き下げれば、経済成長の水増し分をあぶり出すのに効果的だ。

 最近、中国の経済運営には一連の注意を要する新たな特徴がみられるようになった。資源の制約が厳しくなっていること、労働力が不足していること、インフレ観測が高まっていることなどだ。避けられない問題は、一人当たり平均GDPが4千ドルを超えた後、中国経済の潜在的な成長率が鈍化するのではないかということだ。

中国経済が「中レベル所得の陥穽」に陥る可能性は小さいだが、今後は高い経済成長ペースをひたすら追求するべきではない。全体的なニーズの角度からみると、「十二・五」計画では、中国の貿易収支が基本的にバランスすることがうち出されており、これは輸出による成長への貢献が低下する可能性があることを示している。供給の角度からみると、今後数年間、中国の毎年の労働力供給量の新規増加分はゼロに低下する可能性があり、長期的に経済成長を支えてきた人口のメリットが徐々に減少するとみられる。こうした要因はいずれも経済成長の潜在力を引き下げる可能性があるものだ。

 「十二・五」期間の経済成長目標値は7%で、過去の経験からみると、最終的な実質成長率は目標値を上回るとみられる。8-9%ほどになれば、適切なペースだと言える。

 一方、「十二・五」期間の財政・通貨政策は中立を保たなくてはならない。これまで財政予算は工業建設、インフラ建設に多く用いられてきたが、これからは雇用の促進といった公共サービス分野により多く使用した方がよい。サービス業の発展、特に生産型サービス業の発展がスピードアップするとみられる。また戦略的新興産業には大きな発展の可能性があるとみられる。

 通貨政策では、「十二・五」期間には金利水準が現在のペースを土台として、上昇する可能性が低下する可能性より大きい。国は引き続き貸出金政策を調整し、改善する計画で、貸出限度額をしっかりと管理し、人民元レート形成メカニズムの改革を一層推進し、資本市場の健全な発展を、とくに債券市場の健全な発展を促進する方針だ。

 

 「人民網日本語版」2011年2月28日

 

 
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