文・写真=岡田紘幸
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地震発生の翌週から始めた募金活動、華東師範大学の中山北路キャンパスで(写真提供=木村美香) |
2011年3月11日、未曾有の大震災の発生以降、上海でも募金などの支援活動が広がっている。3月25日には上海商城劇場で、上海の日本人ボランティアサークルが主催する「チャリティーランチタイムコンサート」が開かれ、募金活動が行われた。同30日には、上海で活躍する日本人ミュージシャン有志が集い、市内のバーにて震災支援「JAZZ夜」ライブを開催、当日の飲食代の収益を募金した。
また3月27日には、上海で活躍するフラメンコダンサーで、台湾人舞踏家のAnaさんらが、市内の観光地・田子坊で「震災チャリティライブ」を開催した。支配人の好意で無料提供されたギャラリーを舞台に、フラメンコやベリーダンス、バレエ、ピアノ&バイオリン演奏などが繰り広げられた。普段なかなか見ることのない演目に、日本人を中心に、中国人・欧米人など130人ほどが集まった。
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会場は多くの人の熱気に包まれた、フラメンコダンサーで今回の主催者Anaさん |
「フラメンコ教室にいる日本人生徒はみんな家族のような存在。その家族の日本にいる親戚や友だちが被災した今、自分にできることは何かないか」と考え、自らも演舞を行ったAnaさん。「いろんな仲間の協力のおかげで多くの人が集まってくれた。世界の友人が共感してくれたと思う」今回のイベントは、スタッフや演者などもすべてボランティア。集まった義援金はすべて、上海の在上海日本国総領事館を通じて日本へ送られるという。
支援活動は、上海の大学で学ぶ日本人留学生の間でも進んでいる。復旦大学、華東師範大学に続き3月22日、上海財経大学留学生会の学生たちが昼休みに募金活動を行った。同大学3年の高橋達彦さんは「学内での活動では許可を取るのが非常に大変。難しさを感じている」と当日実施までの苦労を口にした。しかし、募金や寄せ書きに応じてくれる学生に対しては感謝の気持ちでいっぱいだという。集まった義援金は在上海日本国総領事館へ届ける予定だ。
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昼休みの時間を使い募金活動を実施、上海財経大学の中山北一路キャンパスで |
地震発生当日、華東師範大学の日本人留学生たちはすぐに支援活動を始めた。発起人の1人で同大学3年の木村美香さんは、幼い頃に阪神大震災を経験している。当時のことも思い出し、「心配よりも、いま何かできることをやった方が被災地の人のためになる」と支援活動をスタートさせた。当日夜に自身も出演したレゲエ音楽のライブで、震災チャリティ活動を小規模ながら実施。翌週月曜には、学内の同じ思いを持った各学年の日本人と留学生ルームに集まり協議した。そして、震災発生から一週間もたたない水曜から3日間、学内の食堂前などで募金活動を30~40人のメンバーとともに行った。また、日本人が多く住む古北地区の日本人経営の店に募金箱を置かせてもらうなど、学内問わず精力的に動いている。
また、今回の震災を機に同大学内で「日本留学生社団」を結成。「今は1円でも多く被災地へ渡すことが大事。無理ない範囲で長期的にできることを続けたい」と、木村さんは持続的な活動の必要性を語る。今後は自身の携わるレゲエ音楽のイベント、さらには中国企業にも呼びかけ、募金活動を行っていくという。
また、学校の枠を越えた「上海日本人留学生の会(SRL)」がスタートし、各大学を横断した活動が始まっている。各大学の日本人留学生の中心メンバーが集い、「今後、募金活動や啓発イベントをどのように行っていくか」話し合いを進めているという。
人民中国インターネット版 2011年4月7日
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