感知日本

常熟理工学院 高科

日本の居酒屋は長い歴史を持っている。大昔から酒場があった。日本の会社では、新人が入社した時や、社員の部署が変わる時、職場で人事が変わる時に飲み会が行われる。また、新年会や忘年会、大切なことを皆で一緒に頑張って仕上げた時、一斉に居酒屋に行く。居酒屋はまた一種の日本文化である。働く時、一生懸命で原則を厳しく守る日本人のことは多分世界中の人、誰でも知ってると思うが、居酒屋にいる日本人は全然違う雰囲気であり、とてもにぎやかになる。平日職場で会って、仕事のことだけについて話すことが多いので、居酒屋に行けば皆遠慮せず、楽しい気持ちで話をすることが出来る。日本の赤ちょうちんの居酒屋は、今まであまり評価されることもなかったが、しかしイギリスのパブやフランスのカフェ、アメリカのバー、スペインのバールなどに十分匹敵する。ひとつの完成した飲酒文化であり、多くの人々の人生に、生き甲斐を与えてきたという立派な功績もある。

日本の居酒屋は長い歴史を持つ。酒は、おいしいばかりでなく、人を酔わせ、いい気持ちにさせることから、人々はそれを神に捧げ、恐ろしい神を味方に引き入れるか、なだめて大人しい神に変えようとした。それがお神酒だった。昔は上司や、同僚、おとくいなどより、まず神様に根回ししてお頼みしておくことが肝心だった現在は老若男女を問わず利用されている、かつては居酒屋は主に男性会社員の大衆的な社交場として機能していた。それは1970年代までの居酒屋といえば男性会社員が酒を飲んでいるところというイメージだった。近年は女性にも好まれるようにチューハイやワインなど飲み物や料理を豊富にしたり、店内装飾を工夫したお店が多くなり、女性だけのグループや家族連れを含め、誰でも気楽に利用できる場所というイメージが定着しつつある。特に1980年代ごろから居酒屋のチェーン店化が進んだ。このことで、居酒屋は安く、大人数が集まることができ、少々騒いでもよく、様々な人の好みに合わせて飲み物や料理を選べるというメリットを持つようになった。このため、学生、会社員、友人などのグループで簡単な宴会を催す際の会場としてよく用いられている。なお、チェーン店を中心に基本的には低価格で気楽に飲食できることを売りにしている店が多く、そのため男女に関わらず広い層を顧客としている。

料理としては最近は刺身だけではなく、焼き物、煮物、てんぷら、フライ、エシャレット、トマトと何でも揃っている。広い層を顧客としているから、しゃべるお話も前より内容幅広くなっている。

「親しい仲間と一杯やる時、疲れを発散したい時、彼女と日本酒を飲みたい時……そんなときこそ、“良い酒”“良い肴”“よい雰囲気”の三拍子そろった居酒屋が嬉しい。」これは日本人の普通のサラリーマンがなぜ居酒屋がよく行く理由としての答えである。刺身や大きな料理はないが、軽く酒を楽しむには十分だ。ありがたいのは夜十二時までやっていることだ。夜型のおじさんたちは夜遅くまで働いているけれど、それでも、十時過ぎあたりにうまい具合に仕事の切りのよくなる時がある。後は明日やる方が能率的だな。仕事場で打ち合わせを終えた夜遅く、同僚をビールでも飲みないと誘い、ある居酒屋の常連として、同僚を連れて行く、後はどこかで座ることだけで、黙って注文しなくても、この居酒屋に毎日のように顔を出すと常連ということになるから、どんな酒、どんな肴は決まっているように順番に出してくれる。時には主人に「ちゃん」づけで声をかけたり、「いつもの」といってみたり、声も態度も大きくて、その親しさだけで、よい雰囲気になるから、気楽なデードのところだ。そんな雰囲気で、後は同僚との気楽な話だ、子供の話、奥さんの話、会社の上司の話……なんでも気楽に出来る。

居酒屋はまたおじさんたちの一人の孤独なデードのよい場所だ。孤独を楽しむことが出来ることは居酒屋の効用のひとつ、ぼんやりしていられることだ。男一人、ぼんやりできるところもないのか。そういう時は居酒屋だ。しかも酒まである。酒を置き、時折ちびりとやっていればいくらぼんやりしようとも怪しまれない。貧乏症で何かしていないと落ち着かない人も、「ぼんやりする」をしてみたらどうだろうか。居酒屋で隅の方に座り、ぼんやり酒を飲む。今の速い社会で人間、一日一回ぼんやりしなくてはならない。一日の仕事を終えたときはどこか頭の中に興奮がまだ残っている。それをそのまま家庭へ持ち帰られては奥さんも大変だろう。まだ顔は怖いし「あれはどうなっているんだ」と言葉も会社言葉だから。 居酒屋は本来、往来を歩いていて、店構えなりに心ひかれ、日本の一種の文化を語っているものである。

 

 
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