文・写真=田亜非
伝統的な北京の風俗では、「初五」と呼ばれる旧暦1月5日には餃子を食べ、道教寺院の「白雲観」に行き、石のサルを撫でる。「白雲観」は、北京郊外の西便門にあり、毎年、廟会は黒山の人だかりになる。石のサルを撫でるのは、数百年前の明清代から現在に続く伝統的な習慣だ。北京には、「神仙は観の石のサルのなかにのみ留まる」という言い伝えがあり、サルは神仙の化身とされている。白雲観に訪れる参拝客はサルを撫で、幸運を願う。
窩風橋は清康熙45年(1706年)に建てられ、のち壊され1988年に再建された。それは南北の向きにかけられた太鼓橋である。橋の下には、水はない。橋の両側には、古代の貨幣の模型がかけられ、「鐘响兆福」の4文字が刻まれている。貨幣の中央の穴には、小さな銅の鐘が掛けられている。もし自分の手元の貨幣を投げ、銅の鐘にあてることができたら、願望が成就するといわれる。銅の鐘を狙い、新年の幸運を願うのは、春節の白雲観の伝統行事だ。
白雲観には十二支の壁がある。1993年に作られた壁は、観内の元辰殿の外にある。訪れる参拝客はみな自分の干支を撫で、新年の願望成就を願う。
西院に入ると、馬にとてもよく似た銅像が目に入る。近づいてよく見ると、その造形は、ラバの体、ロバの顔、馬の耳、牛のひづめで、人々に「四不象」(4つのどれにも似ていない)と呼ばれている。実は、この正式名称は、「特」である。伝説上の神獣であり、自分の体の良くない部分をまずなで、それからこの銅像で同じ部分を撫でると、病が消えると言われる。
「白雲観」の後ろには、静かな庭があり、「雲集園」といわれる。ここでは数百人もの人が行列になり、道士の「祝福」を受ける。王国甜道士は、「全国の道教寺院のなかで、白雲観は、一番初めに祝福を始めています。ゆえに“天下第一福”と呼ばれています。今年ですでに3年目となり、この伝統的な文化を続けていきたいと思っています。訪れる人はみな幸福を願い、平和を願っています」と語る。四人の道士がここに立ち、毎日約10時間をかけ、千枚にものぼる人々に送る「福」の字を書く。
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道士の書いた「福」の字を受け取り、喜ぶ人々。 |
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