非公有制を奨励、支持

于文=文 新華社=写真提供

2011年3月17日、楊丙龍さん(28)は大阪で顧客と商談中だった。大阪で商業貿易センタービルの建設が計画され、その工事を受注した日本の建設会社が、楊さんの所属する中国の三一重工のポンプ装置を買おうとしていた。

この時、楊さんに「東京電力が三一重工のコンクリート輸送ポンプ車を買いたがっている」という電話がかかってきた。3月18日早朝、楊さんが東電大阪支社に直行すると、応対した支社の担当者は型どおりの商談を抜きに、三一重工がアームの長さが72㍍のポンプ車を生産できることを知ると、単刀直入に「そのポンプ車はいつ納品できますか?」と尋ねた。

カザフスタンのアルマトゥイで、協力協定に調印後、握手する中国工商銀行代表(左)とカザフスタンBTA銀行代表

3月11日、東日本大震災によって引き起こされた津波が福島第一、第二原発を襲って以来、放射能漏れは人々を脅かす存在になっていた。原子炉を注水冷却し、爆発による放射能漏れの防止が、一刻も猶予できない状態になっていた。しかし、輸送機による注水ではまるで空から散水しているようなもので、効果は芳しくなかった。消防車による注水も、アームの長さが足りず、思うにまかせなかった。この状況下で、アームが長いポンプ車を使って、注水することを選択した。東電大阪支社は三一重工のアームの長いポンプ車購入を直ちに決定した。当時、同社にはアームの長さ62㍍のポンプ車が一台だけあり、価格は百万㌦だった。楊さんの方から、東京電力と値段交渉を始めようとすると、日本側の答えは「いくらでもかまいません。われわれはいくらでも買います」。この話は、梁穏根理事長に報告されていた。梁理事長はちょっと考えた後、「福島は震災後、非常に大きな困難に見舞われている。売るのでなく、寄贈しよう」と決めた。

三一重工は重機を製造する民営企業だ。2011年7月から、同社は215億8400万㌦の市価を付け、初めて『フィナンシャル・タイムズ』の「グローバル500(世界上位500社の時価総額ランキング)」の仲間入りを果した。中国の民営企業が絶えず成長し、世界で頭角を現したのは、非公有制経済の発展体制の環境が改善され、非公有制経済の発展が絶えず奨励・支持されてきた結果だ。現在、非公有制経済の中国経済に対する貢献度は60%前後に達し、中国経済に最も活力を与える要素となっている。

大型民営企業に対する支持のほかに、近年、民間投資の発展を奨励するため、中央から地方へ相次いで一連の政策が打ち出されている。2010年5月、国務院は民間投資の健全な発展を奨励、誘導する政策を打ち出した。その政策は、プロジェクトの審査権限、用地配分支援、直接融資規模の拡大、金融支援の強化、税収補助と奨励の実行、雇用サービスの強化などさまざまな方面に及び、民営企業に支持と支援を与えている。

長江の埠頭に停泊し、貨物を積み込んでいる国有企業・宝鋼梅山鋼鉄有限公司の貨物船

こうした政策が好材料となって、民間投資が急速に発展し、民営企業の「第二次創業」ブームを巻き起こした。中国国家統計局が発表したデータによると、今年1~4月の中国の固定資産投資は7兆5592億元に達し、前年同期比20.2%増となった。注目すべきなのは、民間投資が依然として、急成長の勢いを保っていることだ。今年上半期4カ月の民間固定資産投資の比重は62%に達し、前年同期比27.3%の増加となり、全国の固定資産投資の成長速度を上回った。

中国社会科学院金融研究所の王松奇副所長は「民間投資は正に相対的に良好な発展環境に恵まれている。国から地方へ、一連の民間投資奨励政策を打ち出し、民間投資のために良好な発展環境を提供し、一部の業界が民間投資に対して設けていた目に見えない敷居も消えつつある」と分析している。また中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は、民間投資の奨励は中国経済の内生的成長を増強する原動力になると、考えている。現在、4兆元の財政出動はすでに終了し、中央方面では、短期間にこのような大規模な財政出動を再び打ち出す可能性はなく、また地方政府が融資プラットホームを通じて投資する行為も制限されているため、逆に大きな投資空間が生み出され、民間資本にこの空間を埋める機会を与えている。このような背景下で、投資を通じて引き続き経済をけん引しようとすれば、民間資本により大きな役割を果たさせなければならない。

 

 

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