国際協力機構(JICA)青年海外協力隊 豊岡孝章

 

野球を通して中国人と本気で付き合った二年間

私は国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊の一員として、河北省石家庄で小学生に野球の指導をしてきました。青年海外協力隊というのは、現地の方と同じ目線で一緒に生活をします。私の2年間は、石家庄の人達と共に過ごした充実した時間でした。

2年前に私が着任した当時、中国語がろくにできなかった私に文句ひとつ言わず一生懸命野球に取り組む子ども達がいました。だからこそ、私は野球を教えることが大好きになり、試合に勝てるチームを作りたい、その思いで取り組みました。

チームのレベルアップを狙い、昨年は子ども達を日本へ連れていきました。野球を含めて多くの日本のこと、素晴らしい時間を与えることができました。子ども達は、日本人のあいさつ、礼儀に対する姿勢に驚き、自分たちも真似ようとする素直な姿勢も垣間見ることができました。多くの子が、日本が大好きだと私に話してくれます。

日本遠征から1年後の、2012年7月、子ども達との最後の野球試合である、広州での大会に参加して、この2年でどのくらい成長したのかを確認することができました。試合当日、子ども達は素晴らしいプレーの連続で3位決定戦にまで進みました。最後の試合に「勝利」をプレゼントしてくれるよう彼らを鼓舞しました。しかしながら、結果は敗北。あと一歩及びませんでした。それでも、初出場で4位という偉業を成し遂げ、さらに私はこの試合後、数人の子が涙を流しているのを見ました。今まで、負けても涙ひとつ見せず凛々しかった子が負けて涙を流し、悔しさをかみしめている……。子ども達の気持ちが十分に伝わってきました。そんな姿を見て、この子たちは本気で野球をやっていたんだと感激し、本当に成長したなと感じました。

青年海外協力隊員として

協力隊員同士でよく「日本と中国はまだまだお互いを知らない。お互いにネガティブなことばかりがニュースになり、お互いよくない先入観を持っている。」ということが話題になります。実際の中国人は、多くがとても優しく友達想いで、友好的な人たちです。先に上げた先入観が原因となってか、私も日本人ということで嫌な思いをすることがありました。しかし、そんな場面で私を助けてくれたのも中国人でした。今後日本に帰任した後、決してネガティブに日中関係をとらえている人ばかりではないということを伝えたいです。

 

私は、中国の子ども達を連れて日本遠征をし、野球を通して交流しました。その後、日本の子ども達が中国に来て野球交流を行いました。このような草の根の交流こそ、この先入観を取り除き、よりよい日中関係を築いていく礎になっていくのではないかと私は思います。今後、青年海外協力隊のような草の根交流がもっと多く実施されることを願っています。

 

 

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