在瀋陽日本国総領事館大連出張駐在官事務所副領事 小谷悟

 

大使館 未知なる世界へ

北京外国語大学への留学を終え、母校・大東文化大学に戻ったのは4年次の夏でした。ほとんどの同級生が就職を決め、ほとんどの会社が求職を終えていました。将来への希望が失望に変わろうとした時、外務省が在外公館派遣員なる仕事を募集していることを知りました。海外にある日本の大使館や総領事館で2年間、語学を活かしながらお客様のアテンドや館内の庶務的業務を担当する仕事です。

1次試験から3次試験まで。難問・奇問・いちゃもんが繰り出される試験を何とかクリアし、合格。

北京にある日本大使館の正門をくぐったのは1998年の春でした。

大学を卒業したばかりの若者にとって、大使館は未知の世界。北京という外交の表舞台で活躍する先輩方がただただ眩しくて、舞い上がっていました。失敗し、叱られ、呆れられ、同情され……。あまたの失敗を繰り返しつつも、何とか業務をこなせたのは、先輩方の心のこもった叱責と励ましがあったからでした。

「語学も、中国政治・経済も、人間関係もとにかく勉強だ。勉強を続けろ」

「役立つ人間になれ。役立っているか常に振り返れ」

「常にテストされていると思え」

「目配り、気配り、手配りだ」

どういうシチュエーションで言われたか、今でも思い出します。それだけインパクトがあり、心に響いたのでしょう。

大連から40周年記念事業を

2000年3月、正式に公務員と採用され上海、東京、アラスカと勤務し、現在は大連で勤務しています。在瀋陽日本国総領事館大連出張駐在官事務所という長い名前のこの役所では、内部業務をメインとしつつ、日中国交正常化40周年記念事業を担当しています。

かたちに残るもの、より多くの方が参加できるもの。こうした考え方の元、日本人向け大連のガイドブックの作成、ネット上でのフォトコンテスト(http://jp.runsky.com/)、日本語図書寄贈などを手がけてきました。そして、今年後半にも様々なイベントを開催する予定です。

最近、私は、服部龍二著『日中国交正常化』を読みました。両国の政治家、外交官がどれだけ熱い思いを持って正常化を成し遂げたかが書かれており、深い感銘を受けました。外務省の先輩から「本を読んで感動に浸っている場合じゃない、お前も国のために尽くせ!!」と声が飛んできそうです。

 

 

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