きせるをくわえたおじいさんの御者、黒鹿毛の大きな馬、白い馬車……、馬車に乗っての五大道遊覧は、天津という都市の独特の景観と言うことができるだろう。今では「万国建築博覧館」と呼ばれる天津五大道は、天津の都市の魅力と歴史的情緒を顕著に表す文化観光エリアになっている。
五大道は天津市和平区の成都道以南、馬場道以北、西康路以東、馬場道と南京路以西に位置する長方形のエリアで、そこにある23の道路の総延長17キロ、総面積1.28平方キロに達する。五大道は東西に貫く馬場道、睦南道、大理道、重慶道、成都路の5つの主要道路を持つことから名付けられた。ここはもともと天津城南に広がる一面の池で、1902年に英国租界に組み入れられ、1919年英国租界工部局がこの地区の埋め立てを開始し、同時に次第に高級住宅地を建設するようになった。現在まで完全に保存されている1920~30年代に設計建設された各種スタイルと歴史的外観の建築は400棟余りになる。五大道は国内外の建築士と施行主の共同作業のもと、西洋古典、バロック、折衷主義、現代建築、中西対照など多様な特徴を持つ建築が並び、「万国建築博覧館」となっている。
国指定の歴史文化名城として、天津の歴史的外観の建築が有名である重要な原因の1つは、そこにかつて2人の「中華民国総統」が住み、7人の「国務総理」あるいは「大理国務総理」が住んだことだ。ほかに、著名な教育家の張伯苓、著名な実業家の周学熙、李燭塵、宋棐卿、米国第31代大統領のフーヴァー、英国のオリンピック男子陸上400メートル金メダリストのエリック・リデルなど各界の名士がここに歴史的足跡を残している。知るところによると、五大道の近代史著名人旧居は200軒以上に達し、天津の重要な歴史文化遺産となっている。このため、五大道も近代中国史の縮図なのであり、中国100年の歴史の変遷のようすをよく写している。
近年来、天津市政府は国内外の歴史建築保護経験の基礎の上に、実際の状況に合わせ、集中的に五大道など歴史的外観建築区に対して総合的改修と保護・利用を進め、天津を外に向かって見せる重要な窓口としている。
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