「十八大」 中国経済は中程度のペースの成長期に

 

中国共産党第18回全国代表大会(党大会、「十八大」)の報告では、「経済の持続的で健全な発展」や「経済発展モデルの転換で重大な進展を遂げる」といった一連の表現で、今後数年間の中国経済の発展の方向性を描き出している。ある経済ウォッチャーによると、こうした表現から中国経済の発展モデルに重大な変化が訪れる見通しであることがうかがえ、過去10年間の平均10.7%という急速な成長が、2けたを下回る中程度のペースの成長に転換することが重要な特徴の一つになるとみられるという。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

同報告では、2020年をめどとした小康社会(いくらゆとりのある社会)の全面的実現という目標の達成を確保する方針が打ち出されるとともに、この目標達成のために「所得倍増」の目標が掲げられ、20年をめどに国内総生産(GDP)と都市部・農村部住民の一人当たり平均所得を10年の2倍に引き上げるとの方針がうち出された。ある経済学者の分析によると、この目標の達成は難しくなく、中国経済が7%の年平均成長率を維持しさえすれば達成可能だという。

第12次五カ年規画(2011-15年、十二五)では11年から15年の経済成長率の目標値が最近では最も低い7%に設定された。また12年の経済成長率目標値は数年前から続いていた8%が下方修正され、7.5%とされた。

中国社会科学院(社会科学アカデミー)の李揚副院長(経済学)は、「このような発展目標を設定したことは、外界に向けて中国経済が主体的にペースを落とすことを伝えるシグナルであり、未来の中国が経済発展の質をより重視するようになること、国民の生活の改善により関心を寄せるようになることを示している」と話す。

02年から11年までの10年間に、中国のGDPは実質で2.5倍増加し、47兆2千億元に達した。だが中国は多くの新たな問題も抱えており、十八大の報告がいうように、「発展の中では不均衡、不調和、持続不可能などの問題が依然として目立って」おり、「資源環境の制約が劇化して」おり、「社会の問題点がますます増加している」。

十八大の代表の一部によると、中国の経済成長ペースの調整は、国内外の発展環境の変化と密接に関わっており、中国自身が構造転換を加速させ、発展の質を引き上げようと考えたことも背景にあるという。

十八大の代表を務める中国人民銀行(中央銀行)の周小川行長(総裁)によると、国際金融危機が急速に去ることはあり得ず、欧州債務危機や米国の「財政の崖」といった新たな問題が次々に発生しており、こうした要因がグローバル経済の発展見通しを暗いものにし、中国経済の発展にも多くの不確定要因をもたらしているという。

十八大の代表の間では、百年に一度の国際金融危機がグローバル経済に深いレベルでの変化をもたらしており、米国・欧州・日本などの発達した経済体の低迷局面が短期間で切り替わることは難しく、中国は外部需要による経済発展の促進というやり方を続けることが困難になっているとの見方が一般的だ。

今年第1-3四半期(1-9月)、中国のGDPは前年同期比7.7%増加した。うち内需の貢献度が105.5%に達し、外需の貢献度はマイナス5.5%だった。国内需要はすでに経済発展を支える主要な動力となっている。

中国経済の発展は量を追求する段階から質を追求する段階に至り、発展の中味にも新たな変化が生じている。

 

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