中国でぜジョブズ氏のような人材が輩出できない理由 十八大代表

 

中国国家知識産権局の田力普局長は11日、第18回党大会プレスセンターで行われた国内外記者の合同取材に出席した。ある記者に「中国がスティーブ・ジョブズ氏のような人材を輩出できないのはなぜか?」と聞かれ、田局長は次のように語った。中国新聞社が伝えた。

「ジョブズ伝」は最初から最後まで読み通した。最も印象に残ったのは、米国人の身体に流れる「知的財産権の血」だ。中国でも制度は確立され、関連機関も設立されたが、知的財産権の意識はまだ向上が待たれる。「ジョブズ伝」は、米国企業および社会における知的財産権を紹介する教科書だと思う。米国ではイノベーションにとって非常に有利な知的財産権環境が整っている。アイデアを思いついたらすぐ「これはあなたの特許なのだ、知的財産権を利用して保護しなければならない」と忠告してくれる人がいる。

米国のような環境はまだ中国にはない。中国でも改革開放後に知的財産権保護制度が確立されたが、英国の300年、米国の200年という歴史と比べると、約30年という蓄積はやや短かすぎる。

800年以上前、世界の重要な発明のうち約半数は中国で生まれたものだった。しかし中国は知的財産権の保護という概念を確立してこなかった。今後は知的財産権を制度から文化的意識へと変えていかねばならないが、まだしばらく時間がかかるだろう。

中国は知的財産権の保護に関し、向上した部分もあるが、海外メディアの報道の多くは実情を伝えていない。彼らは深センの羅湖や北京の秀水市場(注:いずれもコピー商品が多いことで有名)を中国の全てだと思っている。外国企業は中国が実施する知的財産権保護制度によって、損失額の数十倍、数百倍、数千倍の利益を得ている。

中国は今、商標の使用権・正規版ソフトウェアの購入に向けた支出額が世界で最も多い国の1つであり、中国企業は著作権取引を通じて国外の図書、映像製品、テレビ番組を大量に購入しているが、このことはあまり知られていない。

アップル社のデジタル製品のほとんどは中国で生産され、アップルのロゴを貼られて米国に運ばれたとたん、価値が倍増する。良い知的財産権保護環境があるため、彼らは中国で生産製造しながらも、過剰な知的財産の付加価値を得ることができるのだ。

中国の状態も「支離滅裂」というわけではない。知的財産権保護の強化に伴い、中国のイノベーション能力も近年強化されている。昨年、中国の発明特許出願件数は52.6万件に達し、世界の4分の1を占めた。

中国企業は知的財産権の保護を強化する一方で、知的財産権の乱用にも注意する必要がある。現在西側諸国では、「眠っている」特許を低価格で購入し、その特許権を侵害している疑いのある企業を探して恐喝し、賠償金やライセンス料を得ようとする企業が増えている。

今、このような恐喝を受けている中国企業は多い。西洋諸国の企業や個人のほうが知的財産権について熟知しており、うまく運用できるためだ。中国企業はまだ知的財産権に対する理解を深める段階にある。中国企業が大海の中で泳ぎを覚え、徐々に成長してくれることを望む。

 

「人民網日本語版」2012年11月12日

 

 

 

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