今も現役の百年の老木

 

葡萄溝の眺め

トゲブドウは枝にびっしりとトゲがあることからその名がつけられており、ヤマブドウ、毛ブドウと共に世界三大野生ブドウとされている。他のブドウに比べ、トゲブドウはおいしいだけでなく、貯蔵に耐え、旱魃にも強い。生産量も安定しており、病気に強いという特徴があり、わずかな有機肥料さえあれば農薬をまく必要もなく、無公害な果実である。8月中~下旬に成熟し、10月頃まで木に実らせておくことができ、最盛期には1ムー(6.667アール)あたり3000キロ以上の生産量を誇る。

研究者によれば、このブドウ種は今では大規模に栽培されているものの、交配や選択育成が行われておらず、本物の野生ブドウ種であるという。なぜトゲブドウがこの地で強く繁殖し、生き残ることができたのか。専門家は今に至るまで、その解答を見つけることができない。

一面に広がるブドウ棚

中方県のトゲブドウ栽培の歴史は長く、すでに400年以上が経っていると見られている。言い伝えでは、明(1368~1644)末のある地方の小役人が出世のために、はるか遠くの懐化までやってきて、ブドウ一皿を探し当て、皇帝に献上した。皇帝はそれを味わい、形は同じでも、他の黒いブドウとは比べ物にならないほど甘いことを知り、思わず「ブドウ、珍珠の如し、まさに世上の妙品なり」と言い、この小役人に絹百匹を褒美として遣わした。この話は、「一皿のブドウで百匹の絹を得た」伝説として代々語り継がれた。この時から、人々はこのブドウを「珍珠葡萄」と呼び、さらにこのあたりを指す「湘」という言葉をつけて、「湘珍珠」と呼んだ。

百年の老木の前に群がる観光客

中方県桐木鎮大松坡村に葡海と呼ばれる谷間があり、現地の人はここを葡萄溝と呼んでいる。葡海ダムの傍らには、ツルが400平方㍍以上に伸び、根元の直径が22.5㌢、最も長い枝の長さが23.4㍍に達するブドウの大木がある。以前、中方県林業局、農業局と品質検査局が資源調査を行った際、この木を炭素14年代測定法で計測した結果、樹齢が百年を超えるという結果が出たため、ギネスに世界記録として登録申請を行った。中方県は何度も専門家チームを組み、この古いブドウの木に精密な測定を行い、最終的にこの木の樹齢を120年であると確定した。

ふつう、ブドウの木は樹齢20年を過ぎると生産量が下がり始める。しかしこの樹齢百年を超えたブドウの木は、いまだ枝葉を盛んに茂らせ、果実を盛んにつけて、年間生産量は3000㌔にも達する。秋が来るといつも、透明な紫色のブドウの房を枝じゅうにたわわに実らせる。先ほど、上海大世界ギネス総部に「中国最大のトゲブドウ」として認定された。かつて懐化で37年の長きにわたって働いていた「水稲の品種改良の父」と呼ばれる袁隆平アカデミー会員が、この「百年老藤」の題字を揮毫してくれた。

中秋節になると、大松坡村には「ブドウ棚下の農場宿泊」を体験しに多くの観光客が押し寄せるが、その多くがこの百年の老樹を目当てにして来る。

 

人民中国インターネット版 2013年10月

 

 

 
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