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観光客に開放された農家 |
以前、ここの住人は穀物生産で生計を立てており、農家は各家の庭でブドウを育て、わずかな収入を得ていたに過ぎなかった。1980年代、中方県は現地のブドウ種の保護に力を入れ始め、地方経済の発展のために、政府が栽培のプロに農家への指導を頼み、ブドウ棚式の栽培方法を始め、ブドウの生産量を大幅に伸ばした。
ブドウ産業の発展に伴って、今までの庭での栽培という自給自足方式では、日増しに高まる市場の需要に応えられなくなることを地元政府は感じ始めた。湘珍珠ブドウの生産と品質を大幅に向上させたければ、技術上の難題をどうにか解決しなくてはならない。1990年代以降、中方県政府は農業技術指導者を招き、ブドウ栽培農家に研修を行い、栽培農家に施肥、剪定などのカギとなる技術を掌握させ、ブドウの生産量を1ムーあたり現状の2000㌔から3000㌔に向上させた。
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ブドウの木の下でニワトリを飼うと、防虫にも、肥料にもなる |
今世紀に入ると、さらに湘珍珠ブドウの品種改良を進めるため、中方県は湘珍珠ブドウ栽培の中心地区である桐木鎮大松坡村で生産の標準化を大々的に進め、10人の専門家を招き、100戸の標準化ブドウ栽培モデル農家を重点育成し、彼らによって周辺の農家にも施肥技術や袋がけなどの標準的栽培技術を広めて、全村における標準化生産を実現し、湘珍珠ブドウの品質を全面的に向上させたため、その価格もうなぎのぼりに上昇した。
近年、県政府の大がかりな指導のもとで、湘珍珠ブドウ栽培規模は拡大し続けており、栽培農家のこのブランドに対する意識も強くなっている。中方県のブドウ関連製品は2003年に湘珍珠ブドウがブランドとして登録され、2004年に湖南省の無公害農商品認定と産地認定を受け、2007年には懐化市ブランド商品の称号を得て、2010年には湖南省第二回西部農業博覧会の優秀農産品金賞を受賞し、2013年には「湘珍珠」ブドウは国家地理マークが付く保護商品となった。この商品は広西チワン族自治区、雲南省、貴州省などに売られ、さらに欧米のメーカーがこのブドウの品質を見込んで、ここにワイン工場を建設した。
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農薬を使っていないので、木から摘んですぐ口に入れることができる(写真提供 楊捷霊) |
第一回トゲブドウ祭りの開幕式(写真提供 楊捷霊) |
「湘珍珠」の付加価値を高めるために、同県ではさらに、ブドウ産業の多元化に力を入れ、産業チェーンの拡大を図っている。政府の投資と外資誘致により、ブドウ冷蔵とワインへの加工プロジェクトが実施され、葡萄溝に10大観光ポイントの建設が計画され、8カ所の「ブドウ棚下の農場宿泊」施設が開設されて、ここをアグリツーリズム、農業体験、レジャー、ハイレベルのリゾートを一体化した観光地にしようとしている。現在、中方県のブドウ産業は、「協会+共同組合+株式会社+農業基地+農家」という農業産業化モデルをつくりあげており、生産、販売、加工、農村観光が歩みをそろえた発展の道を歩んでいる。
今年もブドウが成熟する時になると、省内と周辺の広西、貴州、重慶などの地から観光客が観光にやってきて、ブドウ観光の観光生産額は5000万元近くに達している。
人民中国インターネット版 2013年10月
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